【東京V】スコアでは推し量れない完敗…好調ヴェルディになにが起こったのか

カテゴリ:Jリーグ

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年09月11日

ラスト10戦の相手はなかなかタフである。

松本戦の敗北を受け、ロティーナ監督はどんな善後策を講じるのか。智将にとっても正念場だ。(C)TOKYO VERDY

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 0-2となり、ロティーナ監督はピッチに指示を飛ばす。
 
 以前の主戦フォーメーションである3-4-2-1への変更で、松本とのミラーゲームを仕掛けた。そしてこれも、裏目に出る。両サイドがスカスカになって幾度となくピンチを招き、攻撃に転じようにもボールの当てどころが皆無で、ロングボールを跳ね返されるばかり。84分にドウグラスが執念のチェイシングでボールを強奪して1点を返したが、その後はシュートさえ撃たせてもらえなかった。松本の反町監督は「正直2-0か3-0で終わりたかった」と話したが、さもありなんだ。
 
 敗軍の将は「今日は相手のほうが優れていた。負けるとやれシステムだ、やれ誰を使った使わなかったという話になるが、相手がいいプレーをしたなら認めるべき」とコメントした。とはいえ、戦前の準備からして、やや腰が引けていなかったか。松本のスタイルを警戒するあまり、それまでの攻守両面でのリズミカルな流れをみずからの手で封印したのだ。どこまでも守備優先で、消極策を選択したのが悔やまれる。
 
 指揮官はこうも言った。「いまの順位には満足している。プレシーズンの状況を考えれば、選手たちは本当によくやっている」と。選手たちとの間には、少しばかり温度差があるのかもしれない。とある選手は、前節・ジェフ千葉戦での勝ちに行かない采配を残念がった。「終盤のコーナーキックの場面で(長身選手に)上がるなって指示が出た。(2-2の)引き分けでオッケーみたいな雰囲気でした」と振り返る。
 
 J2も気づけば残り10試合。どのチームもラストスパートに余念がない。ヴェルディと松本はチームの成熟度を競って戦い、アウェーチームに軍配が上がった。それだけのことなのかもしれない。だが、どこかヴェルディからは「いまだ発展途上なのだから仕方がない」という悠長な構えが見て取れる。もうシーズンは最終盤なのだ。
 
 ラスト10戦の相手はなかなかタフである。横浜FC、名古屋グランパス、FC町田ゼルビア、モンテディオ山形、ザスパクサツ群馬、岐阜FC、アビスパ福岡、レノファ山口、京都サンガ、徳島ヴォルティス。昇格を争うライバルたちとの直接対決が目白押しだ。裏を返せば、それだけ自力で昇格を手繰り寄せられるチャンスが残されている。なんだかんだで自動昇格の2位・福岡との勝点差は7。本気で狙えば、到達できるはずだ。
 
 あとは指揮官がどれだけ選手たちを信じ抜き、選手たちが全身全霊のパフォーマンスで応えられるか。閉塞感をピッチ上で打破できる、メンタルリーダーの台頭も待望される。
 
 紆余曲折あった2017年シーズン。チームの真価が問われるのは、まさにここからなのだ。
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