小松のように、この代表に出るのは初めてでも、一つ下のU-19日本代表で臨んだトゥーロン国際大会を経験している選手が多かったのもポジティブな要素だった。ピッチで君が代を聴く経験を一度しているだけでも違うもの。代表戦独特のプレッシャーを跳ね返したチームは、いくら経験が浅いと言ってもフィリピンとの間にある実力差は大きい。開始10分でこのメンバーで最も国際経験が豊富な三好がゴールネットを揺らすと、そのままゴールラッシュとなった。
大会直前に行なわれたユニバーシアード日本代表との練習試合でもゴールを決めて自信を付けていた小松は前後半合わせて4得点の大暴れ。その試合で戦術的に機能していなかったMF森島司(広島)も、この日は外で張って受ける形を作りながら、機を見て中に入る動き出しが冴えており、前半からほとんどの得点に絡む見事な仕事ぶりを見せた。力の差があるとはいえ、5バックで守りを固める相手にゴールを重ねるのは中央からの力攻めだけでは難しい。効果的にサイドを起点にしながら攻めたからこその成果だった。
日本は終盤に交代出場したFW中坂勇哉(神戸)が小気味良くボールを引き出して攻撃に絡んで点も決めるなど、初代表組が躍動。経験の浅い選手たちが大量8得点を記録する形でしっかり結果を残し、第2戦に先発する選手たちへバトンを渡すこととなった。
取材・文:川端暁彦(フリーライター)