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天皇杯での胸熱くなる光景。清水の人々はなぜ「いわきFC」に力いっぱいの拍手を送ったのか

カテゴリ:Jリーグ

手嶋真彦

2017年07月14日

いわきFCは、きわめて重心の高い布陣でリスクを取り続けた。

FW平岡は、持ち前のテクニックと戦術眼を活かし清水守備陣の脅威となった。写真提供:いわきFC

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DF新田がパスの出しどころを探る。いわきFCは最終ラインからしっかりとパスをつなぐ攻撃を見せた。写真提供:いわきFC

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 大きな課題は後半に浮かび上がる。精度不足が浮き彫りになっていくのだ。50分に2失点目を喫していたとはいえ、ルーズボールの争奪戦や球際の出足では、いわきFCが勝っている場面が多い。選手たちも手応えを感じていただろう。だからなおさら、精度不足がもったいない。ビルドアップでパスを素早く3本つないだ後の4本目や、せっかく突破した後のクロスが不正確で、惜しいシーンはあっても、なかなかシュートまでは持ち込めない。
 
 J1との対戦でクオリティーが落ちてしまうのは、実際に戦った選手たちが一番よく分かっているだろう。サッカーだけに専念できているわけではない。いわきFCの面々は、大型の倉庫で働く日々の仕事にも精を出している。かといって、純然たるアマチュアでもない。社会価値の創造を使命に掲げる革新的なクラブにあって、肝心かなめのサッカーを担っているのだ。それゆえ、最後の精度を要求したくなる。4本目のパスがつながり、クロスがシュートに結び付いていれば、拍手はさらに大きくなっていたはずだ。
 
 いや、本当にそうなのか。試合後のあの万雷の拍手のなかにいるうちに、分からなくなってきた。清水のファンにスタンディングオベーションまでさせた根源には、いったい何があったのか――。
 
 意図的にボールを持たされたいわきFCは、両ウイングバックが高い位置まで上がり、1トップと2シャドーを含めた4~5人が最前線で突破口を開こうと試みていた。きわめて重心の高い布陣で、勇敢にリスクを取っていたのだ。ビルドアップの起点となる3バックは、まずは最前線への、そして次善の選択肢となる2ボランチへの縦パスを狙い続けた。途中でボールを失えば、清水のショートカウンターに直結しかねない紙一重。実際に何度か逆襲を食らい、追加点を奪われかけた。それでもリスクを取り続け、ひたむきに攻めようとしていたのだ。
 
 いわきFCが見据えているのは、スポーツを通じた地方創生というイノベーションであり、地域の人々を勇気づけ、希望をもたらし、いわき市を活気溢れる街にしていくためにサッカーがある。フィジカルを鍛え抜き、走り抜き、戦い抜くのも、リスクを取ってひたむきに攻め続けるのも、勇気や希望、そしてイノベーションという大義のためなのだ。
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