個々の実績が日本サッカーの進化、成長の証に
筆者がバルセロナを拠点に欧州で取材をしていた時代、イタリア人記者に皮肉られたことがある。
「なんで、チャンピオンズ・リーグ(CL)に日本人選手は出ていないのに、お前のような日本人が取材に来ているんだ?」
怒りを覚えたが、言い返すことはできなかった。その翌々シーズンだったろうか、セルティックの中村俊輔がマンチェスター・ユナイテッドを相手に鮮やかなFKを決め、溜飲が下がる思いだった。
その後、内田、長友佑都、本田圭佑、香川らもCLの舞台に上がるようになり、決勝トーナメントを経験する選手も続々出てきた。それは日本サッカーの進化、成長の証と言えるだろう。
今夏は、鎌田大地がドイツのフランクフルト、堂安律がオランダのフローニンヘンに移籍した。彼らには、彼らの戦いがある。しかし、先駆者たちの存在を忘れるべきではないだろう。
海を越えたら、日本人は日本人でしかない。「日本人」として、その地に記憶として残るのである。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、今年3月にはヘスス・スアレス氏との共著『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』(東邦出版)を上梓した。
「なんで、チャンピオンズ・リーグ(CL)に日本人選手は出ていないのに、お前のような日本人が取材に来ているんだ?」
怒りを覚えたが、言い返すことはできなかった。その翌々シーズンだったろうか、セルティックの中村俊輔がマンチェスター・ユナイテッドを相手に鮮やかなFKを決め、溜飲が下がる思いだった。
その後、内田、長友佑都、本田圭佑、香川らもCLの舞台に上がるようになり、決勝トーナメントを経験する選手も続々出てきた。それは日本サッカーの進化、成長の証と言えるだろう。
今夏は、鎌田大地がドイツのフランクフルト、堂安律がオランダのフローニンヘンに移籍した。彼らには、彼らの戦いがある。しかし、先駆者たちの存在を忘れるべきではないだろう。
海を越えたら、日本人は日本人でしかない。「日本人」として、その地に記憶として残るのである。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、今年3月にはヘスス・スアレス氏との共著『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』(東邦出版)を上梓した。