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【小宮良之の日本サッカー兵法書】宮市へのエール――度重なる怪我にも屈しなかった先達に続け!

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2017年07月04日

怪我に真摯に向き合った選手は誰もが勝利者である

天才肌のMFとしてバレロンを記憶しているサッカーファンも多いだろうが、その人間力も多くの人々を魅了してきた。 (C) Getty Images

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 グラン・カナリア島の英雄で、「スペインのジダン」といわれたファン・カルロス・バレロンの生き方は、ひとつの模範的だ。
 
 彼はどんな人間とも真摯に接し、いつも笑顔で表情を輝かせ、人との交流を断たなかった。兄、父を幼くして立て続けに事故で失い、もうひとりの兄はサッカー選手だったが、暴力的なタックルで選手生命を奪われた。そして、自身も3度、膝靱帯を断裂することになった。
 
 06年、30歳の時に最初の断裂。半年後に復帰したが、再び半月板を損傷し、靱帯も切れてしまう。そして翌年、復帰したのも束の間、またしても靱帯断裂を負い、半年近く戦線を離れることになった。
 
 とてつもない苦しみだったことだろう。ここでサッカーをやめても、誰も責めることはなかったはずだ。明日が見えない、という怖さもあったに違いない。しかしバレロンは、そんな不幸な面影を一切見せず、誰にでも笑顔をこぼし、ピッチに立つことを願い続けた。
 
 彼は37才の時、地元ラス・パルマスに戻り、1部昇格を目指して戦った。プレーオフでアディショナルタイムに失点を喫し、その機会を逃したものの、不屈の男は現役を続行し、翌年、1部昇格を成し遂げた。そして41才で1部リーグの舞台に立ち、そのシーズンでキャリアの幕を閉じたのだ。
 
「切実さを内に秘め、外には爛漫の笑みをこぼす。そこに、グラン・カナリアの男の気概がある」
 
 誰にでもできることではない。
 
 ひとつ言えるのは、試練に直面し、これに真摯に向き合った選手は、人間として逞しくなる。選手として成功しようとしまいと、尊敬に値する人物になる。何より、人に優しくなれる。
 
「俺は、前十字を3回切ってもサッカーをやれている幸せを、すごく感じている」
 
 当時、穏やかに話していた財前の笑顔は、勝利者そのものだった。
 
  そして今、復活を期す宮市に、エールを送りたい。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、今年3月にはヘスス・スアレス氏との共著『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』(東邦出版)を上梓した。
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