【ミラン検証】超大型投資も「財布」は大丈夫? 中国市場の売上は楽観的すぎる…

カテゴリ:メガクラブ

片野道郎

2017年06月23日

UEFAに提出した収支計画書はあまりに楽観的…。

さらにビグリア(左上)、カリニッチ(右上)、コンティ(左下)、ケイタ(右下)らの獲得を目指しているミラン。しかし、財政状況の見通しは……。(C)Getty Images

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 では、ミランにはこの膨大な赤字を穴埋めして、UEFAのファイナンシャル・フェアプレー(FFP)規程をクリアできる健全な経営を保つ見通しがあるのだろうか?
 
 現時点では、その問いに対する答は「イエス」よりも「ノー」に近い。
 
 UEFAのFFP規程の中には、オーナーが替わったクラブに限って、財政的な裏付けがあれば初期投資として最初の1~2年間の大幅赤字を許容するというルールが組み込まれている。
 
 しかしこのルールを適用するためには、UEFAに向こう4年間の収支計画を提出して承認を受ける『ボランタリー・アグリーメント(自主協定)』というプロセスが必要だ。
 
 この自主協定には拘束力があり、もし守れなかった場合には執行猶予なしで補強禁止やUEFAコンペティション(チャンピオンズ・リーグ/ヨーロッパリーグ)の出場資格喪失といった厳しいペナルティーを受けることになる。
 
 ミランの新経営陣は、4月に中国資本による買収がクロージングする以前からこの自主協定についてUEFAと水面下で話し合いを続けており、具体的な収支計画も提出していた。
 
 ところがさる6月10日、クラブの公式サイトでUEFAへの自主協定申請を取り下げ、10月に改めて提出することを発表。これは、提示した収支計画があまりにも楽観的に過ぎて、実現性が低いという判断を受けたためだ。
 
 その数日後には、イタリアの経済紙『イル・ソーレ24オーレ』とスポーツ紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』が、そのミランの収支計画の内容を報じた。
 
 それによると、ミランの売上高は16-17シーズンの1億9600万ユーロ(約235億円)から、17-18シーズンには2億7300万ユーロ(約328億円)、18-19シーズンには4億2600万ユーロ(約511億円)と、年150%近い驚異的な勢いで伸びることになっている。
 
 しかし、その上乗せ分を担っているのは、ほぼすべてが「中国からの売上」という項目だ。16-17にはゼロだったこの項目が、17-18には9000万ユーロ(約108億円)、18-19には1億8300万ユーロ(約220億円)も計上されている。
 
 どういう根拠と見通しによって、これだけの売上を中国で立てようとしているのか――。その詳細はまったく明らかにされていない。
 
 確かなのは、中国で最も人気があるヨーロッパ・クラブであるマンチェスター・Uですらも、このような売上は不可能ということだ。
 
 ちなみに、マンチェスター・Uは中国に880万人のSNSフォロワーを持っているが、ミランのそれは40万人に過ぎない。
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