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【日本代表|6月シリーズ総評】小さくない失望感が…。メンバー選考に問題はなかったのか?

カテゴリ:日本代表

本田健介(サッカーダイジェスト)

2017年06月15日

中盤は壊滅的な状況に。

最終予選で初先発した遠藤。個人的なパフォーマンスは悪くなかった。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 ハリルホジッチ監督は、シリア戦、イラク戦に向けて、レギュラーCBの森重真人を「(パフォーマンスに)満足できない」と選外とし、清武弘嗣もメンバーリストに加えなかった。一方で、左第5趾基節骨骨折から復帰したばかりの今野泰幸をリスク覚悟で招集し、ブルガリアのベロエ・スタラ・ザゴラ所属の加藤恒平もサプライズ選出。「私のチョイスが良いメッセージになってくれることを期待します。資格がある選手は誰だって呼べるということ」と、競争を煽るような発言をしていた。
 
 しかし、この決断がイラク戦では凶と出た。長谷部誠が右膝の負傷で不在のなか、シリア戦では香川真司が左肩の脱臼でチームを離脱し、右脛を痛めた山口蛍はイラク戦をベンチで見守るしかなかった。今野はなかなかコンディションが上がらず、加藤は信頼を置けなかったのか23人の試合登録メンバーに含めなかった。その意味で中盤は壊滅的な状況だった。
 
 イラク戦の前日会見では指揮官も、あえて清武の名前を出し「長谷部、真司がいない。蛍、今野もどうかという状況。清武もいない」と嘆いたほどだ。
 
 結局は35度を超える気温、1600メートルの高地という環境面を考慮し、イラク戦では“若くて動ける”遠藤航と井手口を2ボランチにチョイス。ふたりはしゃかりきに走り回り、守備面でチームを助けたが、CB昌子源を含めた最終予選初スタメンの3人は、個々で奮闘するも、コンビネーション面で未整備な部分があり、イラク攻撃陣に付け入る隙を与えてしまった。
 
 一方で、ある程度、引いて守る展開を考慮したなか、前線ではドリブルで持ち上がれる原口をトップ下、キープ力のある本田を右サイドに置いた形は理解できた。現にこのふたりと大迫が攻撃を牽引し、早い時間で先制にも成功した。ただ、久保の左サイド起用は失敗に終わり、徐々にだがチームの首を絞めることにもなった。
 
 昨年9月のアウェーでのタイ戦ではスタメン起用した原口が貴重な先制ゴールを奪い、同年10月のホームでのイラク戦では途中出場させた山口が決勝ゴール。また、今年3月のアウェーでのUAE戦では先発させた久保裕也が先制点を決めるなど、当たることが多かった“ハリル采配”は、イラク戦では湿り気味だったと言える。

 思い描いた結果が出なかったことに、日本サッカー協会の田嶋幸三会長は「まずどういうことが問題なのかを考えて、スタッフ、技術委員会が検討していただくことが大事」とコメント。去就問題に言及したわけではないが、“技術委員会”という言葉を出すなど、今後に含みを持たせる発言を残した。
 
 雲行きが徐々に怪しくなってきたなか、ハリルジャパンは、逆境を撥ね退けて次のオーストラリア戦でワールドカップ出場を決められるのか。よもや悪い意味で、この6月シリーズが、分岐点になったという事態は避けてほしい。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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