元日本代表も柏U-18のポゼッションを絶賛! 育成型を貫く首位・柏に生まれる好循環

カテゴリ:Jリーグ

加部 究

2017年06月10日

最近は手塩にかけるばかりではなく外へ出す冒険も。

セットプレーでは、キッカーとしての能力の高さを見せる手塚(17番)。U-18からニュージーランドを経由してトップチームに漕ぎつけた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 だが敢えて結論づければ、この試合は育成型を貫く柏の完勝だった。もちろんGK中村航輔の連続セーブも見逃せないが、手塚康平のミドルシュートで先制してからは「FC東京の骨格を砕く試合ができた」と指揮官も納得。後半開始早々にはハイテンポの流麗な崩しで中央を切り裂き「3~5点は取らなければ」(下平監督)というほど決定機を連ねた。
 
 柏には大谷秀和のようなクラブ一筋のバンディエラもいるが、最近は手塩にかけるばかりではなく、外へ冒険に出す戦略も見て取れる。中盤で違いを見せつけた手塚も「ユース時代から、相手の嫌なポジションを取り、嫌がるところを突く特徴があったが、守備力に課題があった」(下平監督)ため、ニュージーランドで武者修行を経験した。本流から外れ一見ギャンブルにも映るが、現地で「ボディコンタクトを嫌がらず、球際にしっかり行ってボールをさばく」意識が促進され、レギュラー奪取につながっている。
 
 それまで柏では、長身でパワフルなクリスティアーノがセットプレーを蹴る側に回っていたので、手塚という優秀なキッカーを得たメリットは見逃せない。他にも武富孝介、中川寛斗、中村らが、若干遠回りをしながらも逞しさを増して戻っている。こうした流れは、おそらくアジアの中では優位性を保つ指導力という利点を、地道に追求し続けるクラブの姿勢とも重なる。
 
 熟成品の補強は、教本を提供するかもしれないが、若い芽の経験の場を奪うこともある。一方でビッグネームを買ってこなくてもビッグクラブになれることは、バルセロナを筆頭にいくつかのクラブが証明済みだ。
 
文:加部 究(スポーツライター)
 
※『サッカーダイジェスト』2017年6月8日号(5月25日発売)「加部究のフットボール見聞録 第496回」より転載
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