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【小宮良之の日本サッカー兵法書】若い才能を開花させるには、教えるのではなく、気付かせること

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2017年06月08日

育成には決まったひとつのロジックは存在しない

天性の才能、そして自発的な数えきれないほどの反復練習とイメージトレーニングが、ラウールを稀代の名手たらしめた。 (C) Getty Images

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 肝心なのは、強制されたトレーニングではない、という点だろうか。
 
 ラウール自身が、トレーニングを率先して望んだ。さらに彼は、週末になると朝から晩まで1日中、あらゆるカテゴリーの試合を見続け、そこでの得点パターンを自身に取り込もうとしている。周りが呆れるほど、サッカーを見ることを続けていたという。
 
 自発的な鍛錬だったからこそ、身についたのだ。
 
 育成は人に巡り会えるか、という運もあるが、結局のところ、選手は選手自身によって成長を遂げる。
 
 ポルトガル代表FWのリカルド・カレスマは少年時代、コーチの話に決して耳を貸さなかったという。「協調性に欠け、大成はしないだろう」と言われた。コーチたちも、力が及ばなかったことを残念がっていた。
 
 事実、十代でバルセロナに移籍しながら、その後は不遇を託った時代もある。しかし、三十代に入ってから成熟を見せ、ポルトガル代表を欧州王者に導いているのだ。
 
 長所も短所も、個性として失わなかったことで、プロ選手として道を切り開けた、ということか。
 
 育成にはロジックがない。
 
 ひとつ言えるのは、戦い続けることで、成長のきっかけを掴むことはできるということだろう。
 
 日本の新鋭選手たちは、U-20W杯で勝負の厳しさを学んだ。それは、学習という生やさしいものではなく、身体に刻み込んだものだった。激闘の経験は、成長の触媒になるだろう。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、今年3月にはヘスス・スアレス氏との共著『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』(東邦出版)を上梓した。
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