育成には決まったひとつのロジックは存在しない
肝心なのは、強制されたトレーニングではない、という点だろうか。
ラウール自身が、トレーニングを率先して望んだ。さらに彼は、週末になると朝から晩まで1日中、あらゆるカテゴリーの試合を見続け、そこでの得点パターンを自身に取り込もうとしている。周りが呆れるほど、サッカーを見ることを続けていたという。
自発的な鍛錬だったからこそ、身についたのだ。
育成は人に巡り会えるか、という運もあるが、結局のところ、選手は選手自身によって成長を遂げる。
ポルトガル代表FWのリカルド・カレスマは少年時代、コーチの話に決して耳を貸さなかったという。「協調性に欠け、大成はしないだろう」と言われた。コーチたちも、力が及ばなかったことを残念がっていた。
事実、十代でバルセロナに移籍しながら、その後は不遇を託った時代もある。しかし、三十代に入ってから成熟を見せ、ポルトガル代表を欧州王者に導いているのだ。
長所も短所も、個性として失わなかったことで、プロ選手として道を切り開けた、ということか。
育成にはロジックがない。
ひとつ言えるのは、戦い続けることで、成長のきっかけを掴むことはできるということだろう。
日本の新鋭選手たちは、U-20W杯で勝負の厳しさを学んだ。それは、学習という生やさしいものではなく、身体に刻み込んだものだった。激闘の経験は、成長の触媒になるだろう。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、今年3月にはヘスス・スアレス氏との共著『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』(東邦出版)を上梓した。
ラウール自身が、トレーニングを率先して望んだ。さらに彼は、週末になると朝から晩まで1日中、あらゆるカテゴリーの試合を見続け、そこでの得点パターンを自身に取り込もうとしている。周りが呆れるほど、サッカーを見ることを続けていたという。
自発的な鍛錬だったからこそ、身についたのだ。
育成は人に巡り会えるか、という運もあるが、結局のところ、選手は選手自身によって成長を遂げる。
ポルトガル代表FWのリカルド・カレスマは少年時代、コーチの話に決して耳を貸さなかったという。「協調性に欠け、大成はしないだろう」と言われた。コーチたちも、力が及ばなかったことを残念がっていた。
事実、十代でバルセロナに移籍しながら、その後は不遇を託った時代もある。しかし、三十代に入ってから成熟を見せ、ポルトガル代表を欧州王者に導いているのだ。
長所も短所も、個性として失わなかったことで、プロ選手として道を切り開けた、ということか。
育成にはロジックがない。
ひとつ言えるのは、戦い続けることで、成長のきっかけを掴むことはできるということだろう。
日本の新鋭選手たちは、U-20W杯で勝負の厳しさを学んだ。それは、学習という生やさしいものではなく、身体に刻み込んだものだった。激闘の経験は、成長の触媒になるだろう。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、今年3月にはヘスス・スアレス氏との共著『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』(東邦出版)を上梓した。