【日本代表|シリア戦戦評】乾貴士と本田圭佑の働きは本当に素晴らしかったのか?

カテゴリ:日本代表

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2017年06月08日

復帰したばかりの今野に多くを求めるほうが無理。

シリア戦で同点ゴールを決めた今野だが、全体的なパフォーマンスには不満が残った。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 あの失点を振り返り、酒井宏樹は「どこかフワッとしていた」とコメント。一瞬の油断が命取りになることを改めて教えてくれたゴールだったいうことも言っていた。その意味で、イラク戦を前にそれに気付けたことは収穫だ。実際、吉田麻也とCBコンビを組んだ昌子源も「やられた部分も成長につながる」と話していた。
 
 見方によっては、乾のテクニックが光った、本田のインサイドハーフに可能性を感じた、というのも収穫と言えるのかもしれない。
 
 ただ、イラク戦に向けて先行するのは期待よりも不安だ。気掛かりのひとつは、今野泰幸のパフォーマンス。同点ゴールを決めた以外にインパクトを残せず、ひと言で言えば、シリア戦の今野は「UAE戦の今野」ではなかった。3月のUAE戦を最後に実戦から遠ざかり、6月4日の磐田戦で復帰(途中出場)したばかりの彼に多くを求めるほうが無理というものだ。
 
 シリア戦でアンカーを務めた山口蛍も動きが重かった中盤は香川の戦線離脱も決まり、まさにクライシス。もしかするとイラク戦は、今野をあきらめて、トップ下に倉田秋、2ボランチに山口(もしくは井手口陽介)と遠藤航を置く布陣で戦うかもしれないが、いずれにしても香川の戦線離脱は痛手だ。
 
 なにより、イラクに精神的なアドバンテージを与えてしまうのが厄介だ。ネームバリューだけで相手を威圧できる選手がひとり少なくなってしまうのは予想以上に痛い。
 
 シリア戦はいくつかの収穫があったかもしれないが、どちらかと言えば、失ったもののほうが大きいと考える。

取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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