【総体】“大分のドルトムント”柳ヶ浦は、全国の舞台で台風の目となれるか

カテゴリ:高校・ユース・その他

川端暁彦

2017年06月06日

救世主となったのは得点センス溢れるルーキーFW。

準決勝で大分を、決勝で大分工を下して3年ぶりの戴冠。本大会での飛躍を誓う。写真:安藤隆

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 そんなチームを救ったのは、元々はスーパーサブとしての起用を考えられていた1年生FW芝崎翼だ。
 
「相手DFの前に入るのが上手く、得点感覚がある」と指揮官が評価する逸材は、準決勝の大一番・大分戦でハットトリックを完成させて3-1の勝利に貢献すると、この決勝でも前半4分に決勝点となるゴールを決め、チームを優勝に導いた。ベースの身体能力も高く、「1年生なので体力面はどうかなと心配していた」(野口監督)という事前の不安も吹き飛ばし、連戦の中で輝き続けたのだ。
 
 そして看板選手不在の苦境に際して、3年生たちも踏ん張った。
 
「この子たちはキツい練習を要求しても、前向きに取り組んでくれていた」(野口監督)という成果をピッチの中で披露した。「ふたりとも本当のガッツマン」というDF原田涼平、田中竜の両サイドバックに象徴される粘り強い戦いで、決勝でも大分工の反撃を封殺。「走り負けは絶対しないのがウチの約束事」というポリシーそのままの戦いぶりで、全国切符を掴み取った。
 
 全国に向けては「まだまだ厳しいですよ」と野口監督は笑うが、選手たちには3年前の出場時に前橋育英と死闘を演じた試合(1-2の惜敗)の映像を見せて、「相手は日本代表が3人もいたチームだったけれど、先輩たちは意外にやれているだろう?」と早くもポジティブなイメージを刷り込み済み。「大分のドルトムント」が全国大会で台風の目となれるかどうか。それはここから本大会までの2か月弱の時間を、どこまで有効に使えるかに懸かっている。
 
取材・文:川端暁彦(フリーライター)
 
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