【ベガルタ戦記】渡邉晋の『日晋月歩』|前節の反省が徹底的に生かされた完勝劇

カテゴリ:連載・コラム

渡邉 晋

2017年06月06日

「カウンターの怖さを示そう」ということは以前から話していた。

単にボールポゼッションしているだけでは怖さはない。「まずは前」や「背後を狙う」必要性も改めて示した。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 守備から攻撃の切り替えも手応えはあった。ボールポゼッションも大切だが、「カウンターの怖さも示そう」という話を少し前からしており、それを出せたのが横浜戦(5月20日の12節)からだった。
 
 元々、仙台はカウンターを得意とするチームだ。マイボールになったら前線が動き出し、そこを目がけて蹴る。これが綺麗に通ればゴールに直結する可能性が高いので、相手の最終ラインは裏のスペースを気にして重心を後ろに下げる。
 
 カウンターをケアされた段階で、ボールホルダーには「前へ運ぶ」という選択肢も提示した。実際に横浜戦では後ろや横にパスをするのではなく、何人もの選手がボールを持ち上がって相手陣に入ってくれた。
 
 以前のコラムでも話したが、ポゼッションは目的ではない。ゴールを奪うためのひとつの手段に過ぎない。「90分間、ハーフコートゲームすることが究極の理想形」とは言ったものの、単にボールを握っているだけでは怖さはないので、「まずは前」や「背後を狙う」必要性も改めて示した。
 
 チームとして「ボールを奪った瞬間にどこを狙う」や「相手ボールになったらどこまで寄せる」という部分は、以前の4-4-2と少し異なる。今のシステム(3-4-2-1)でもようやく、「このタイミングでここ」という点でパスの出し手も受け手も理解が進んできた。
 
 切り替えの瞬間には、感覚的なものが存在する。「今までなら走っていたはずのエリアに味方がいない」、「今までならいなかった場所に味方がいる」というのが、ようやくアジャストできるようになってきた。
 
 欲を言えば、後半にもうふたつ、3つくらいはゴールを奪いたかった。残り5分を切ったあたりからプレーをスローダウンさせたので、ベンチから「もう1点取りに行け」と指示を出した。
 
 しかし、選手たちは無理をしなかった。「もう3-0だから」と考えたのかもしれない。それもひとつの判断。選手自身で試合の流れを読み、コントロールできた証だと考えている。
 
構成●古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
 
※渡邉監督の特別コラムは、J1リーグの毎試合後にお届けします。次回は6月17日に行なわれる15節・鳥栖戦の予定。お楽しみに!

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