【ACL】ムアントンはなぜ川崎に大敗したのか? 絶不調のタイ王者に中村憲剛も「あれ?」

カテゴリ:Jリーグ

佐々木裕介

2017年05月31日

チャナティップの札幌移籍にも頭を悩ませるチームだが…。

はるばるタイから日本へやってきたムアントン・サポーター。大敗したが、悲壮感はなかった。写真:佐々木裕介

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 チャナティップの札幌への旅立ちが迫るなか、クラブ首脳陣は策を講じている。先週、ウボンUMTユナイテッドからタイ代表若手のホープ、FWシロー・チャットンを、またシーサケットFCからブラジル人FWレアンドロ・アサンプサオの獲得を発表、しかしどちらもタイでの実績はあるものの、チャナティップとはタイプが異なる。補強はどうもしっくり来ない。
 
 試合後の監督会見で、スリパン監督に「チャナティップが居ないチームは、攻撃のエッセンスが乏しい。先週ふたりの大物選手獲得を発表したが、どちらもチャナティップとは異なるタイプの選手。彼の代わりを海外から獲得するようなビッグサプライズの準備はあるのか?」と疑問をぶつけると、こう返事が返ってきた。
「それについては、いまこの場でお答えすることはできません」
 
 邪推すれば、答えられない=準備している、とも受け取れるコメントだった。
 
 試合後の囲み取材、川崎の中村憲剛の言葉も非常に興味深いものだった。
「うーん、向こうの出方が僕らの予想外の出方だったので、向こうは3点必要なのでね、パワー配分とか関係なく、絶対前から来るだろうと皆で予想してたのに、『あれ? 来ねえのかよ?!』みたいな。ちょっと変な空気になって、読めなくて、ここからどうやって3点取ってくるのかなと。ウチが1点取って、今度は来るかなと思ったが来なかった」
 
 これで公式戦6連敗。国内では川崎のようなどこから攻めて来るのか読めない変幻自在のフットボールと対戦することがほぼない彼らからすれば、相手が悪かったということなのか。いや、高みを目指すチームには、それで総括してはいけない問題だろう。
 
 80分過ぎから川崎ファンが気持ち良さそうに歌い出したチャント、西部警察のテーマ曲を引用した「カーニバル」が頭から離れない帰路、帰国後すぐに控えるチェンライ・ユナイテッドとのリーグ戦を思い出し、嫌なイメージを抱いてしまった。タイ王者の負の連鎖はどこまで続くのだろうか。
 
 取材・文:佐々木裕介(フリーライター)
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