【ベガルタ戦記】渡邉晋の『日晋月歩』|スーパーゴールを生んだ約束事とプレーの整理

カテゴリ:連載・コラム

渡邉 晋

2017年05月31日

プレー面を整理させるためにクリスとはゆっくりと話をした。

途中出場で2ゴール。逆転勝利の立役者となったクリスランだが、特に2点目は彼にしかできないものだったと言える。(C) J.LEAGUE PHOTOS

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 実は、62分の失点前から選手交代で流れを変えようという準備はしていた。だが、すぐにこちらが動くと「ベンチが焦れてしまった」と選手に思われてしまう。そのため、選手交代は少し間をおいた(66分に梁勇基に代えて西村拓真、石原直樹に代えてクリスランを投入)。
 
 何かを変える必要があった状況で頭に浮かんだのは、ルヴァンカップでのクリス(クリスラン)、(佐々木)匠、(西村)拓真の良いコンビネーションだった。匠はU-19日本代表としてトゥーロン国際に行っていて不在だったが、クリスと拓真をセットで出場させたら面白いと考えた。
 
 ちなみに74分の3枚目の交代はハチ(蜂須賀孝治)から中野(嘉大)だったが、これには「ドロー狙いじゃない。絶対に逆転するんだ」というメッセージを込めていた。
 
 すると、クリスと拓真のパス交換からペナルティエリア内でファウルを獲得。PKをクリスがしっかりと決めて、83分に同点とした。
 
 チームには「相手の最終ラインは4バックで、スライドして対応するから必ず疲れる。そうすればバイタルエリアが空く」という話はずっとしていた。前半からボールを動かし続けた成果だったとも言える。
 
 2点目は「クリスにしかできないゴール」だ。もしかしたら、イージーなグラウンダーのパスよりも、少しアクロバティックなほうがクリスには合っているのかも(笑)。練習でもそういうプレーを見せているし、ストライカーであることの証明だろう。ゴール方向へ身体が向いていれば、ああいうゴールを作り出せてしまう。
 
 もちろんボールを供給した勝也も素晴らしかった。84分という疲労の溜まる時間帯だったので、シンプルにクロスを入れたのではないか。10分ほど早ければ体力も残っており、「前に運ぶ」という選択肢も生まれていたかもしれない。
 
 仕掛け続けた疲れがある。前をパッと見たらクリスのランニングが視界に入る。クロスを蹴ろうと決断する。その判断は早かったし、それが結果的にベストなタイミングになった。質に関しては、それが彼の武器だから驚きはしない。
 
 クリスとはルヴァンカップ6節・札幌戦が終わり、仙台に戻ってきてから、ゆっくりと話をした。リーグ戦ではスタメン落ちしており、自分がやれるプレーとこちらが要求するプレーの整理ができていない気がした。
 
 なので、シンプルに「これだけをやってくれ」と。そのひとつが“動き出し”だ。約束事のひとつをクリスがきちんと守ってくれたからこそ、クロッサーとの呼吸が合い、劇的な得点が生まれた。新潟戦では、頭の中をクリアにしてプレーできていたと思う。
 
構成●古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
 
※渡邉監督の特別コラムは、J1リーグの毎試合後にお届けします。次回は6月4日に行なわれる14節・甲府戦の予定。お楽しみに!

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