【U-20W杯で考える】決定機数では日本が上。それでも明白だったベネズエラとの差とは?

カテゴリ:日本代表

熊崎敬

2017年05月31日

幼い頃からパスをつなぐことがサッカーだと刷り込んでいるのは…。

敗退が決まり、うなだれる日本の選手たち。重要なのはこの経験を次に生かせるかだろう。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 サッカーでもっとも大切なことは、敵の背後を取ること。そのためには敵を間近まで引きつけなければならない。敵が近くなるほど失うリスクは高まるが、股抜きはやりやすくなる。股抜きはもっとも効果的な背後を取る手段だ。
 
 個人技に自信があるベネズエラは、敵が間合いに入ってきても怖がらない。むしろ喜んで身体を密着させ、ごそっと敵の背後を取る。それは特別なことではない。ヨーロッパや南米なら、誰でもやっているようなことだ。
 
 ところが、日本はそれができない。やろうともしない。
 なぜか。それはひとつには、幼いころから1対1でボールを奪い合うような遊びをしていないからだ。また幼い頃からパスをつなぐことがサッカーだと刷り込まれている。
 
 刷り込んでいるのは、私たち大人だ。指導者であり、メディアであり、ファンだ。
 曰く――日本人は小さいから接触を避け、長所である俊敏性を生かしたプレーをすべきだ。
 メディアの端くれである私も、賛同していた時期があった。
 
 だが、それは正しくないということが、この大会で改めて分かった。日本は俊敏性を生かしたプレーをすることが、むしろ短所になっている。
 
 肉体がフレッシュなグループステージでは、まだ日本らしいプレーをすることができる。敗れたウルグアイ戦も、後半は日本が細かくパスをつないで主導権を握る時間帯があった。
 
 だが中2日の4試合目となったベネズエラ戦、日本は前半こそ何度かチャンスを作ったが、足が止まった後半以降はほとんど何もできなかった。
 こまめに動いてパスコースを作る日本のゲームは、足が止まるとゼロになる。2010年南アフリカ大会、パラグアイにPK負けした4試合目もそうだった。
 
 中3日と日本よりも好条件で試合を迎えたベネズエラも、明らかに疲れていた。グループステージの軽やかな動きが陰を潜めた。
 だが動きが鈍い中でも、彼らは随所に局面を打開するプレーを見せた。じっくりと身体をぶつけ合い、背後を取ることができるからだ。これは体力の問題ではない。
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