だがインテル退団は、むしろチャンスと言える。たとえ残留したとしても、新戦力のバックアッパーに回る可能性が少なくない。欧州カップ戦があればローテーションでの出場も期待できるが、前述したようにそれも難しい状況だ。
 
　それならば、ゴタゴタ続きのチームでベンチに座り続けるより、新天地を求めたほうが得策だろう。しかも、１年後にはロシア・ワールドカップが控えている。レギュラーとしてコンスタントにピッチに立っていなければ、この大舞台への出場も叶わなくなるかもしれない。
 
　幸い今冬にも獲得に動いたサンプドリアをはじめ、アタランタやクリスタル・パレスなどが興味を示している。なかでも、若手の奮闘でEL出場権を獲得するなど、今シーズンのセリエAで最大のサプライズを提供したアタランタは、理想的な移籍先と言えるだろう。
 
　というのも、躍進を支えた両ウイングバック、左のレオナルド・スピナッツォーラ（ユベントスからレンタル中）と右のアンドレア・コンティは、どちらも強豪クラブから引く手あまたで、退団の可能性が低くない。その後釜として、レギュラーの座を掴めるチャンスが十分にあるのだ。
 
　そのうえ、監督のジェン・ピエロ・ガスペリーニは３-４-３の使い手で、両ウイングバックに運動量とスピードのある選手を起用することで知られている。2011-12シーズン序盤にはわずか５試合とはいえインテルを率いて長友を両サイドで起用していた。ELとの二足の草鞋を履くうえでも、そのユーティリティー性は重宝されるだろう。
 
　ナポリ戦のミスでファンやマスコミから糾弾された長友は、ツイッターでそれに反論したことで、さらにバッシングを浴びる破目になった。このままミラノを去るのは、不本意かもしれない。
 
　しかし逆にいえば、蜜月の関係が終わりを告げ、次のステップを踏み出すきっかけになったと言えなくもない。
 
　もはやインテルに留まる理由を探すほうが難しい。
 
文：ワールドサッカーダイジェスト編集部