金の力で伝統を汚したと責められるが、大物補強の予定はない

大枚をはたいて豪華な即戦力を獲得しても、結果を残せなかったチームは多々……(写真はヴォルフスブルク)。それに比べれば、ライプツィヒの金の使い方とチーム作りは、実に堅実で、かつ的確だった。 (C) Getty Images
予想外の躍進を果たしたチームには普通、国外のトップクラブに選手を引き抜かれる危険が付きまとう。今シーズンであれば、ホッフェンハイムのセバスティアン・ルディとニクラス・ジューレがバイエルン移籍を果たした。
だが、ライプツィヒはそうした心配はしていないようだ。ミンツラフは、「我々はすでに準備をしている。そのために、ほとんどの選手が長期契約を結んでいるんだ」と語っている。
主力選手は、ほぼ全て残留。そして今シーズンのチームをベースにさらなるバージョンアップを図るハーゼンヒュットル監督は、CB、MF、FWにそれぞれ、2人ずつの補強を求めている。
イッサ・ディオップ(DF/トゥールーズ)、トシン・アダラビオヨ(DF/マンチェスター・シティ)、コンラート・ライマー(MF/レッドブル・ザルツブルク)、ナディーム・アミリ(MF/ホッフェンハイム)、マキシミリアン・アーノルド(MF/ヴォルフスブルク)、マキシミリアン・フィリップ(FW・MF/フライブルク)、マティアス・ギンター(DF/ドルトムント)……
補強候補として挙がっているのは、23歳以下の将来性の高い選手ばかりで、大物の獲得は視野に入っていない。
ミンツラフは、「CL出場が決まったとはいえ、クレイジーな補強をしたりはしない。我々は、年俸の上限を設けている。そこを変えるつもりはない」と語る。
ライプツィヒでは、年俸の上限は450万ユーロに定められている。これについて、ラルフ・ラングニックSDは「チーム内での不要な騒動を避けるため」と理由を明かしていた。
とはいえ、ライプツィヒを嫌悪する他クラブのファンは、まだまだ多い。ヘルタ戦前でも、「金の亡者」と書かれた大きなプラカードが見られた。金の力で伝統を汚していると、彼らは責め立てる。
だがライプツィヒは、金の力だけでここまで来たのだろうか。彼らはスター選手を買い漁ったりはしない。それに、投資額云々を言うのであれば、多額の資金をバックに戦力を補強したはずのヴォルフスブルク、ハンブルク、レバークーゼンといったクラブの、現在の順位は?……。
どのようなサッカーを求め、どのような選手が必要で、どのように育て、どのように勝利を目指すのか――。
具体的なビジョンと、それを具現化するためのプロフェッショナルな環境があったからこそ、ライプツィヒはここまでの躍進を遂げることができたのだろう。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。
だが、ライプツィヒはそうした心配はしていないようだ。ミンツラフは、「我々はすでに準備をしている。そのために、ほとんどの選手が長期契約を結んでいるんだ」と語っている。
主力選手は、ほぼ全て残留。そして今シーズンのチームをベースにさらなるバージョンアップを図るハーゼンヒュットル監督は、CB、MF、FWにそれぞれ、2人ずつの補強を求めている。
イッサ・ディオップ(DF/トゥールーズ)、トシン・アダラビオヨ(DF/マンチェスター・シティ)、コンラート・ライマー(MF/レッドブル・ザルツブルク)、ナディーム・アミリ(MF/ホッフェンハイム)、マキシミリアン・アーノルド(MF/ヴォルフスブルク)、マキシミリアン・フィリップ(FW・MF/フライブルク)、マティアス・ギンター(DF/ドルトムント)……
補強候補として挙がっているのは、23歳以下の将来性の高い選手ばかりで、大物の獲得は視野に入っていない。
ミンツラフは、「CL出場が決まったとはいえ、クレイジーな補強をしたりはしない。我々は、年俸の上限を設けている。そこを変えるつもりはない」と語る。
ライプツィヒでは、年俸の上限は450万ユーロに定められている。これについて、ラルフ・ラングニックSDは「チーム内での不要な騒動を避けるため」と理由を明かしていた。
とはいえ、ライプツィヒを嫌悪する他クラブのファンは、まだまだ多い。ヘルタ戦前でも、「金の亡者」と書かれた大きなプラカードが見られた。金の力で伝統を汚していると、彼らは責め立てる。
だがライプツィヒは、金の力だけでここまで来たのだろうか。彼らはスター選手を買い漁ったりはしない。それに、投資額云々を言うのであれば、多額の資金をバックに戦力を補強したはずのヴォルフスブルク、ハンブルク、レバークーゼンといったクラブの、現在の順位は?……。
どのようなサッカーを求め、どのような選手が必要で、どのように育て、どのように勝利を目指すのか――。
具体的なビジョンと、それを具現化するためのプロフェッショナルな環境があったからこそ、ライプツィヒはここまでの躍進を遂げることができたのだろう。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。