――リオネル・メッシが右サイドで効果的に機能できず、彼を中央に移すために３バックシステムに変更したように見えますが、それが成功していないということでしょうか？
 
野口氏「本来、サイドは中央と比べてプレッシャーが緩い。そのサイドで本領を発揮できていないという理由から中央でプレーさせても、今度は360度からプレッシャーを受けるわけすからね。お世辞にも機能しているとは言えないと思います」
 
　逆にパリSG戦（CLラウンド・オブ16）の第１レグでは、メッシが中央でボールを奪われてカウンターを食らっていた。L・エンリケ監督はメッシがゲームに関わる時間帯を増やしたいと言っていますが、中央に移すことで理想通りにいっているのか、それとも、まだ機能できていないなと思っているのかは、会見などで本人に直接聞いてみたいところですね。個人的には、システム変更はチーム全体だけでなく、メッシ自身の負担増にもなっている印象を受けます」
 
 
――国内リーグとCLでスケジュールが詰まっている時期ですが、その影響はどう思っていますか？
 
野口氏「たしかに日程面も対戦カードも厳しいですが、それはどっちも同じです。今シーズンだけが厳しいわけでもないですし、そこを乗り越えて初めてタイトルが見えてきますからね。
 
　ジネディーヌ・ジダン監督が問われるのは、厳しい試合が続く中で、万一躓いた時にチームを落ち込ますことなく、軌道修正をして活性化させることができるかです。指揮官として手腕が試されると思います。
 
　ただ、マドリーはあれだけの連続無敗記録（40試合）を作りながらも、ちょっと躓いたりしただけですぐ批判されるようなクラブ。とても難しいなと思います。順調だったチームが２、３試合躓くだけで評価が一気に下がるだけに、プレッシャーは尋常じゃないですよね。
 
　それでもジダン監督は、選手時代からそういうプレッシャーを乗り越えてきているからか動じないし、昨シーズンは途中就任ながらいきなりCLを制覇している。そのあたりは、やはり“持っている”というか、次元が違うんだなと思います。色々な難しい状況がある中で、そこを乗り越えられる能力があって、かつカリスマ性がある。だからビッククラブで指揮が取れるのだと思います」