「最後は自分に矢印を向けて、どうやって乗り越えていくか」
南は99年のワールドユース(現・U-20ワールドカップ)で日本の準優勝に貢献し、柏から熊本、そして横浜FCへと籍を移してプロ20年目となる今もなお、第一線で活躍を続ける経験豊富な守護神だ。今季は開幕戦こそピッチに立ったが、その後は負傷の影響でベンチ外。前節の京都戦からようやくベンチ入りし、徐々にコンディションを上げている最中だった。
そんな自身が戦線を離脱していた間にゴールを預かっていた後輩GKに対し、「自分が言えるような立場じゃない」と前置きをした上で、南はこう語った。
「これも経験。ミスをするのも良いプレーをするのも。その積み重ねがあって、自分で判断してできるようになっていく。ミスをしない人はいない。僕らは人間だし、機械ではない。でも、(このミスは)自分で乗り越えていくしかない。周りは良い言葉を掛けたりするけど、最後は自分に矢印を向けてどうやって乗り越えていくか。(GKコーチの)田北さんもそれはよく言っているけど、ミスは誰にでもあるから次にどうするか。みんな甘い言葉を掛けたりするから、それで帳消しにするのではなくて、今後どうやって取り組むかが大事」
なぜ、南がそう思うのか。その理由のひとつに、過去に自らが犯した失敗がある。2004年の第1ステージ11節・広島戦で、自身のミスが生んだ衝撃的なオウンゴール。その試合後、様々な葛藤と戦った。
「(ミスをした時は)切り替えるしかなかった。プレーはプレーでしか返せない。何を言われても慰めにしかならない。だからこそ、本当に自分がプレーで返すしかない。そのミスひとつでポジションを失ってしまうこともある。とにかく、GKはやり続けていくしかない」(南)
南はレギュラーを争うライバルでもある高丘に次節が大切であると説く。GKは1つしかない特殊なポジションだ。途中からピッチに立つ機会もフィールドプレーヤーとは異なり、負傷か退場処分を受けない限りはそうそうない。ひとつの大きなミスが自分の出番に直結する厳しさを南は誰よりも分かっている。だからこそ、下部組織出身の生え抜き守護神にひとつのミスの重要性を伝えたいのだ。
高丘にとってこの試合のミスは高い授業料だったかもしれないが、払う価値のある学びの場だった。今後、失敗を挽回する活躍を見せ、仲間たちからの信頼を再び勝ち取れば、雨降って地固まる――となるはずだ。ミスを取り返すためには、プレーで示すしかない。今が伸び盛りの21歳。高丘陽平の真価が問われるのは次節の千葉戦だ。
取材・文:松尾祐希(サッカーライター)
そんな自身が戦線を離脱していた間にゴールを預かっていた後輩GKに対し、「自分が言えるような立場じゃない」と前置きをした上で、南はこう語った。
「これも経験。ミスをするのも良いプレーをするのも。その積み重ねがあって、自分で判断してできるようになっていく。ミスをしない人はいない。僕らは人間だし、機械ではない。でも、(このミスは)自分で乗り越えていくしかない。周りは良い言葉を掛けたりするけど、最後は自分に矢印を向けてどうやって乗り越えていくか。(GKコーチの)田北さんもそれはよく言っているけど、ミスは誰にでもあるから次にどうするか。みんな甘い言葉を掛けたりするから、それで帳消しにするのではなくて、今後どうやって取り組むかが大事」
なぜ、南がそう思うのか。その理由のひとつに、過去に自らが犯した失敗がある。2004年の第1ステージ11節・広島戦で、自身のミスが生んだ衝撃的なオウンゴール。その試合後、様々な葛藤と戦った。
「(ミスをした時は)切り替えるしかなかった。プレーはプレーでしか返せない。何を言われても慰めにしかならない。だからこそ、本当に自分がプレーで返すしかない。そのミスひとつでポジションを失ってしまうこともある。とにかく、GKはやり続けていくしかない」(南)
南はレギュラーを争うライバルでもある高丘に次節が大切であると説く。GKは1つしかない特殊なポジションだ。途中からピッチに立つ機会もフィールドプレーヤーとは異なり、負傷か退場処分を受けない限りはそうそうない。ひとつの大きなミスが自分の出番に直結する厳しさを南は誰よりも分かっている。だからこそ、下部組織出身の生え抜き守護神にひとつのミスの重要性を伝えたいのだ。
高丘にとってこの試合のミスは高い授業料だったかもしれないが、払う価値のある学びの場だった。今後、失敗を挽回する活躍を見せ、仲間たちからの信頼を再び勝ち取れば、雨降って地固まる――となるはずだ。ミスを取り返すためには、プレーで示すしかない。今が伸び盛りの21歳。高丘陽平の真価が問われるのは次節の千葉戦だ。
取材・文:松尾祐希(サッカーライター)