ポジティブな空気感が漂うイングランド代表。物議を醸したメンバー選考の成否は?

カテゴリ:国際大会

山中忍

2017年03月28日

ルーニー外しは「賢明な効果的な判断」と評価

招集外となったルーニーに代わって10番を背負ったアリ(左)は、そのプレッシャーを意に介さず、堂々とプレーした。 (C) Getty Images

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 もちろん、全ての人選が当たったわけではない。ドイツ戦で中盤のセンターとして先発したジェイク・リバモアにとって、約4年半ぶり2度目の代表戦は“場違い”のようにも見えた。
 
 もし、エリック・ダイアーの相棒として、怪我で不在だったジョーダン・ヘンダーソンの代役を探すのであれば、次回はエバートンのトム・デイビス(18歳)か、トッテナムのハリー・ウィンクス(21歳)といった勢いのある若手を試すべきだろう。
 
 一方、メンバー発表時に最も騒がれたチームキャプテンであるウェイン・ルーニーの落選は、「賢明で効果的な判断」と評価された。
 
 サウスゲイトが、ルーニーの「好調な競争相手」として名前を挙げた、20歳のデル・アリと28歳のアダム・ララーナは、揃って2試合に先発している。

 ドイツ戦ではアリが、1対1の決定機は外したものの、「10番を背負うに相応しい」としてチーム最高の評価を下され、リトアニア戦では、ジェイミー・ヴァーディーのゴールを巧妙に演出したララーナが、各紙でマン・オブ・ザ・マッチに選ばれた。
 
 ベンチに、エバートンで存在感を高めている23歳のロス・バークリーもいたことを考えれば、マンチェスター・Uで控えに甘んじている31歳のキャプテンには、代表復帰に向けて相当な覚悟が求められる。
 
 前線では、そんなルーニーよりも年上のデフォーが復帰したが、これによってサウスゲイト率いるイングランドが、チームとして後退したという印象はない。
 
 むしろ、34歳のベテランFWにロシアW杯への扉が開かれた今回の国際Aマッチウィークで、サウスゲイト体制のイングランドは「可能性」を感じさせた。そして、アリら若い力の活躍により、避けては通れない「ルーニーなき後」への扉をも開いた印象だ。
 
文:山中忍
 
【著者プロフィール】
やまなか・しのぶ/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
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