勝つ確率を上げるために大事なのは…。
「デュエル」という言葉の浸透とともに選手たちの1対1や球際の意識は、数年前より格段に高まっています。しかし、常にバランスも意識しなくてはいけません。前半に吉田選手が中盤のラインを越えてきたボールに素早く前に出て反応する場面が何度もありましたが、そうした手をつないで共に動いているような関係性を、横のつながりの中でも形成していくべきだと思います。
攻撃においても、選手たちが有機的につながって攻める場面は限られました。大迫選手や久保選手、ここまで最終予選で日本代表を牽引してきた原口選手。彼らの特長や意欲、好調さは随所で見られましたが、どこか単発の印象はありました。香川選手も本来プレーしたいエリアに潜り込む場面がなかなか作れないために、彼らしさを出す場面は制限されていました。
きっと選手間でもう話されていると思いますが、自分の特長を出せる場面を増やすことに加えて、それぞれの特長がつながりあって攻撃に厚みが感じられるような時間帯も増やしていってほしいと思います。
ただ、ここで挙げた課題はチーム作りのベースの上に成り立つものです。「修正する」というよりは「上乗せする」ものなので、ここからワールドカップに向けて、少しずつ積み上げていけばいいと思います。
UAE戦は、戦術的、技術的、あるいは心理的に90分をマネージメントし、相手に隙を与えませんでした。これを数年前に盛んに言われていた「自分たちのサッカー」とは「真逆」だと捉える方もいるでしょう。しかし、それは違います。どちらも「自分たちのサッカー」なのです。
相手の強みを出させなかったのは自分たちです。献身的に戦ったのは自分たちです。もちろん、ゴール前に侵入してゴールしたのも、ゴールを守ったのも自分たちです。勝つ確率を上げるために大事なのは、試合で起こるあらゆる状況に対応できる「自分たち」をもつことです。
選手たちは今回の成功体験で、献身性を打ち出しながら試合をマネージメントすることを「自分たちのサッカー」に加えられたと思います。こうして勝ちと負けの歴史を積み重ねる先に「日本人らしいサッカー」とは出来上がっていくのだろうと思いました。
【著者プロフィール】
岩政大樹(いわまさ・だいき)/1982年1月30日、山口県大島郡周防大島町出身。岩国高―東京学芸大―鹿島―BECテロ・サーサナ(タイ)―岡山―東京ユナイテッドFC。J1通算290試合・35得点。J2通算82試合・10得点。日本代表8試合・0得点/常勝軍団・鹿島で不動のCBとして活躍し、2007年からのJ1リーグ3連覇など、数々のタイトル獲得に貢献。日本代表にも選出され、2010年の南アフリカ・ワールドカップメンバーに選出された。2014年には10年間在籍した鹿島を去ってタイのBECテロ・サーサナに新天地を求め、翌2015年にはJ2岡山入り。岡山では精神的支柱としてチームをまとめ、2016年のプレーオフ決勝に導いた。今季から在籍する東京ユナイテッドFCでは、選手兼コーチを務める。また、同時に解説業・執筆活動にも精力的に取り組み、”3足の草鞋”でサッカー界発展に寄与している。
攻撃においても、選手たちが有機的につながって攻める場面は限られました。大迫選手や久保選手、ここまで最終予選で日本代表を牽引してきた原口選手。彼らの特長や意欲、好調さは随所で見られましたが、どこか単発の印象はありました。香川選手も本来プレーしたいエリアに潜り込む場面がなかなか作れないために、彼らしさを出す場面は制限されていました。
きっと選手間でもう話されていると思いますが、自分の特長を出せる場面を増やすことに加えて、それぞれの特長がつながりあって攻撃に厚みが感じられるような時間帯も増やしていってほしいと思います。
ただ、ここで挙げた課題はチーム作りのベースの上に成り立つものです。「修正する」というよりは「上乗せする」ものなので、ここからワールドカップに向けて、少しずつ積み上げていけばいいと思います。
UAE戦は、戦術的、技術的、あるいは心理的に90分をマネージメントし、相手に隙を与えませんでした。これを数年前に盛んに言われていた「自分たちのサッカー」とは「真逆」だと捉える方もいるでしょう。しかし、それは違います。どちらも「自分たちのサッカー」なのです。
相手の強みを出させなかったのは自分たちです。献身的に戦ったのは自分たちです。もちろん、ゴール前に侵入してゴールしたのも、ゴールを守ったのも自分たちです。勝つ確率を上げるために大事なのは、試合で起こるあらゆる状況に対応できる「自分たち」をもつことです。
選手たちは今回の成功体験で、献身性を打ち出しながら試合をマネージメントすることを「自分たちのサッカー」に加えられたと思います。こうして勝ちと負けの歴史を積み重ねる先に「日本人らしいサッカー」とは出来上がっていくのだろうと思いました。
【著者プロフィール】
岩政大樹(いわまさ・だいき)/1982年1月30日、山口県大島郡周防大島町出身。岩国高―東京学芸大―鹿島―BECテロ・サーサナ(タイ)―岡山―東京ユナイテッドFC。J1通算290試合・35得点。J2通算82試合・10得点。日本代表8試合・0得点/常勝軍団・鹿島で不動のCBとして活躍し、2007年からのJ1リーグ3連覇など、数々のタイトル獲得に貢献。日本代表にも選出され、2010年の南アフリカ・ワールドカップメンバーに選出された。2014年には10年間在籍した鹿島を去ってタイのBECテロ・サーサナに新天地を求め、翌2015年にはJ2岡山入り。岡山では精神的支柱としてチームをまとめ、2016年のプレーオフ決勝に導いた。今季から在籍する東京ユナイテッドFCでは、選手兼コーチを務める。また、同時に解説業・執筆活動にも精力的に取り組み、”3足の草鞋”でサッカー界発展に寄与している。