監督交代という「生贄」を捧げたクラブが優勢? プレミア残留争いの行方は――

カテゴリ:ワールド

山中忍

2017年03月15日

モイーズのサンダーランドは早くも残留争いから脱落の烙印が。

チーム立て直しに苦心するモイーズ。残留圏内の17位まで勝点差6とまだまだ嘆くような開きはないものの、ピッチ上でのパフォーマンスからは浮上の兆しは見えない。 (C) Getty Images

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 無論、常に監督交代という生贄に御利益があるとは限らない。
 
 昨シーズンのアストン・ビラなどは、2度の監督交代も実らずに最下位で2部に落ちた。名門ニューカッスルも、腕利きの指揮官であるラファエル・ベニテスを招聘しても降格の運命は避けられなかった。逆に一昨シーズンのレスターのように、続投を許されたナイジェル・ピアソンが、ラスト10試合で20位から14位へとチームを押し上げた例もある。
 
 とはいえ、監督交代が的中した場合の印象はより強烈だ。昨シーズンにしても、「残留請負人」ことサム・アラダイスが、シーズンの大半を最下位で過ごしたサンダーランドを37節で残留確定に導き、ホーム観衆の前で小躍りして喜ぶ姿が目に焼き付いている。
 
 3シーズン前には、就任時には最下位だったクリスタル・パレスを11位に押し上げて、降格回避を実現したトニー・ピュリスがプレミア年間最優秀監督に選ばれた。
 
 そして今シーズンも、監督交代が吉と出たレスターとスウォンジーがそれぞれ15位と16位で次節を迎え、残留争いを一歩リードしたように見える。
 
 その一方で、昨夏からのデイビッド・モイーズ体制下で最下位に根を張り続けているサンダーランドは、既に「残留争い脱落」とも言われている。唯一の得点源である34歳のジャーメイン・デフォーへ過度に依存する状況が、後半戦に入っても変わらないのだ。
 
 アイトール・カランカ体制4年目を迎えたミドルズブラは、肝心の終盤戦で降格圏に転落。2部では堅守優先で昇格に漕ぎ着けたが、ここまでリーグ最低の19得点という攻撃力が非力すぎる。現在19位と不振に喘ぐチームは、希望の光が見えていない。
 
 となれば、残る降格枠は、共に監督交代を見たクリスタパレスとハルの二者択一か? 机上の理論では、大砲としてクリスティアン・ベンテケ、チャンス供給役にヨアン・キャバイエ、ウィルフレッド・ザハらがいるチームを、アラン・パーデューの後任としてプレミアでは降格知らずのアラダイスが率いるクルスタル・パレスに分がある。
 
 だが、さしものアラダイスも、確実にポイントが欲しいホームでリーグ最多の9敗という弱点を克服できずにいる。今シーズン最後のホームゲームでハルを迎える37節は、既に「生贄」を捧げている両軍が、プレミアでの生死を賭けた一騎打ちとなりそうだ。
 
文:山中忍
 
【著者プロフィール】
やまなか・しのぶ/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。

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