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【小宮良之の日本サッカー兵法書】CLでの大差スコアを生み出した、パリSGの良策、バルサの愚策

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2017年03月01日

誤った柔軟性!? 己への背信行為によってバルサは失意の底へ…

就任当初は問題を抱えたエメリ監督だが、着実にパリSGを強化している。彼にとってバルサ撃破は、セビージャ時代(写真)の2015年10月3日(2-1)以来だった。 (C) Getty Images

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 たしかに、エメリの作戦はほぼ完璧だった。用兵の妙――それが勝因とも言える。
 
 しかしその一方で、バルサはあまりにバルサらしくなかった。
 
 バルサのプレーを創り出すはずのセルヒオ・ブスケッツとイニエスタはこの日、コンディションが悪すぎた。彼らはこのところ、だましだましの状態で出場を続けている。
 
 このふたりが50~60パーセントの状態では、パリSGの守備網を突き崩すことはできなかった。ボールを保持できず、回せないことで、MSNも孤立したのである。
 
 そして、あろうことかルイス・エンリケ監督は、4-3-3のシステムを4-2-3-1に変更。これで相手のプレッシングはかかりやすくなって、バルサは終盤、有効な攻撃をほとんど繰り出せなかった(まともなチャンスはCKくらい)。
 
「メッシがどうにかしてくれる」
 
 背番号10への依存度が高すぎた。
 
 バルサは哲学への背信行為により、自ら敗れたのかもしれない。ポゼッションと攻撃のオートマチズムにベースがあるにもかかわらず、前線の得点力に頼りすぎた。そのツケが、一斉にパリSGによって請求されることになった。
 
 敵の策に敗れたということなら、挽回の余地はあるのだが……。
 
 日本代表では最近、“らしさ”を追求することは否定されるようになった。効率良く勝利するには、柔軟性が必要である。しかし、その策が策に敗れる、というのもまた道理である。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。
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