スパレッティ監督が生放送中にまさかの「乱入」。
とはいえラッジ市長は、スタジアムの建設には賛成の意思を表明している。あくまで「計画には法律に不適合な部分があるので、それを見直す必要がある」という立場だ。
しかし、ローマ市とラツィオ州による最終審査の期限である3月初めまでに、市とクラブが計画の見直しについて何らかの妥協点を見出せなければ、計画そのものが頓挫する可能性は決して小さくはない。
そこで例のハッシュタグ、である。
市の出した答申を巡って、政財界やマスコミがてんやわんやの議論を繰り返していた2月5日の午後、衛星放送局『スカイ・イタリア』の24時間スポーツニュース『スカイスポーツ24』が、ローマのトレーニングセンターとスタジオを繋いで、番記者によるレポートを流していた時のこと。TVカメラに向かって話している番記者の横に、ルチアーノ・スパレッティ監督が突然現れると、記者からマイクをひったくりカメラに向かって話し始めた。
「みなさん、今日の話題は私が提供しよう。ローマにはスタジアムが必要だ。ファーモ・スト・スターディオ!(このスタジアムをやろうぜ!)。そしてローマだけじゃない。イタリア中で、すべてのチームのために、スタジアムを建設しなければいけない。これが今日の話題だ。では、ごきげんよう」
番記者のレポートに監督が自分から割り込んでくるというのは、普通はありえない出来事だけに、スパレッティ監督のこの“乱入”は、あっという間に大きなニュースになった。
そして、親しみやすいローマ弁でスタジアム建設の必要性を訴えた「ファーモ・スト・スターディオ!」が、一気にハッシュタグとして拡散しはじめたというわけだ。
スパレッティ監督がこうした形での拡散までを計算に入れて乱入したのかは疑問だが、ローマにとって自前のスタジアムを持てるかどうかは、クラブの将来を大きく左右する死活問題だ。結果的には、世論を盛り上げて市当局にプレッシャーをかけるという意味でも、極めて効果的なキャンペーンとなっている。
そうしている間にも、ローマ市とASローマの間では、計画見直しについての話し合いが始まっている。最終的な結論がでるのは3月初め。今後も動向を注視しよう。
文:片野道郎
【著者プロフィール】
1962年生まれ、宮城県仙台市出身。1995年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中だ。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させている。『ワールドサッカーダイジェスト』誌では現役監督とのコラボレーションによる戦術解説や選手分析が好評を博す。ジョバンニ・ビオ氏との共著『元ACミラン専門コーチのセットプレー最先端理論』が2017年2月に刊行された。
しかし、ローマ市とラツィオ州による最終審査の期限である3月初めまでに、市とクラブが計画の見直しについて何らかの妥協点を見出せなければ、計画そのものが頓挫する可能性は決して小さくはない。
そこで例のハッシュタグ、である。
市の出した答申を巡って、政財界やマスコミがてんやわんやの議論を繰り返していた2月5日の午後、衛星放送局『スカイ・イタリア』の24時間スポーツニュース『スカイスポーツ24』が、ローマのトレーニングセンターとスタジオを繋いで、番記者によるレポートを流していた時のこと。TVカメラに向かって話している番記者の横に、ルチアーノ・スパレッティ監督が突然現れると、記者からマイクをひったくりカメラに向かって話し始めた。
「みなさん、今日の話題は私が提供しよう。ローマにはスタジアムが必要だ。ファーモ・スト・スターディオ!(このスタジアムをやろうぜ!)。そしてローマだけじゃない。イタリア中で、すべてのチームのために、スタジアムを建設しなければいけない。これが今日の話題だ。では、ごきげんよう」
番記者のレポートに監督が自分から割り込んでくるというのは、普通はありえない出来事だけに、スパレッティ監督のこの“乱入”は、あっという間に大きなニュースになった。
そして、親しみやすいローマ弁でスタジアム建設の必要性を訴えた「ファーモ・スト・スターディオ!」が、一気にハッシュタグとして拡散しはじめたというわけだ。
スパレッティ監督がこうした形での拡散までを計算に入れて乱入したのかは疑問だが、ローマにとって自前のスタジアムを持てるかどうかは、クラブの将来を大きく左右する死活問題だ。結果的には、世論を盛り上げて市当局にプレッシャーをかけるという意味でも、極めて効果的なキャンペーンとなっている。
そうしている間にも、ローマ市とASローマの間では、計画見直しについての話し合いが始まっている。最終的な結論がでるのは3月初め。今後も動向を注視しよう。
文:片野道郎
【著者プロフィール】
1962年生まれ、宮城県仙台市出身。1995年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中だ。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させている。『ワールドサッカーダイジェスト』誌では現役監督とのコラボレーションによる戦術解説や選手分析が好評を博す。ジョバンニ・ビオ氏との共著『元ACミラン専門コーチのセットプレー最先端理論』が2017年2月に刊行された。