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【小宮良之の日本サッカー兵法書】答のない世界……選手育成をめぐるパラドックスとジレンマ

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2017年01月26日

“化け物”は作られるものではなく、思いがけず生まれるもの。

下手に指導者が手を加えていたら、今のメッシはなかったかもしれない。とはいえ、正しい方向に導く者がいなければ、才能は開花しない。本当に育成とは難儀だ……。 (C) Rafa HUERTA

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「メッシは化け物だ」
 
 セリエAで得点王に輝いたゴンサロ・イグアインでさえ、同胞のメッシの力量を「手が届かないもの」として括っている。
 
 では、いかにして化け物は生まれたのか。
 
 育成において、メッシのような選手を作ろうとする。試み自体は決して悪くはない。しかし現実には、化け物は作られるものではない。思いがけず、生まれるものなのだ。
 
「指導したくなる気持ちを制するのが大事」
 
 世界最高の名手を生み出す“工場”のようになっているスペインの指導者たちは、現場での我慢を第一に口にする。どこまで手をかけず、促し、わずかに修正するか……。いや、その修正すらも能わず、無意味な例もいくつもある。
 
「指導者が枠にはめ込んだような選手が、鎬を削る世界で生き残れると思うか? 選手自身が気付くしかないのさ。戦うために何が必要かを」
 
 スペイン、ガリシアの育成部門で仕事をする指導者は、いみじくも語っていた。
 
 多くの選手は、欠落した点を抱えているものである。それはデウロフェウのように、全てを持ち合わせてしまったための、性格的驕りとして表われる場合もあるだろう。しかし、何も持たざる者を育てようとしても、それも能わない。
 
 選手育成――。
 
 それは難儀で、法則性など一切見当たらない。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。
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