冬開催での変化は? センアーノ神戸初優勝で幕を閉じた全日本少年サッカー大会のいま

カテゴリ:高校・ユース・その他

小林健志

2016年12月30日

開催時期が4か月ずれただけで、体格のいい選手が増加。

優勝したセンアーノ神戸ジュニアの選手たち。決勝では粘り強い試合運びを見せた。写真:小林健志

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センアーノ神戸のMF木幡(右)は、豊富な運動量で攻守両面で活躍を見せた。写真:小林健志

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 ここ2年の大会全体を見渡すと、大会時期が従来より4か月後にずれたことで、出場各チームとも中学生に近い体格の良い選手が増えた。優れたGKに贈られるゴールデングローブ&ブーツ賞を受賞した横浜FMのGK渡辺快は既に身長168センチ。横浜FMはDF中居丈二も身長163センチだ。センアーノ神戸も160センチ超の選手はいないが、DF和田は身長157センチ、もう2人のDF丸尾太一、平賀大空も150センチを超えており、最終ラインで高さ勝負は計算できる。長身選手が多いチームが勝ち上がりやすいのは確かだろう。
 
 ただ、センアーノ神戸の大木監督は「小幡がキレキレでした。彼が危ない芽を摘んでくれたことが勝因です」と3-1-3フォーメーション(※2011年の第35回大会から8人制に移行)で中盤中央に位置するMF小幡を誉め称えた。小幡は身長135センチとまだ小柄だが、気の利いたポジショニング、決定機を作り出す正確なパス、身体の使い方をしっかり考えてうまく大柄な選手の懐に入り込みボールを奪うなど攻守において大活躍。スピードがありドリブルも巧い3トップが目立つが、「どうしても前の3人がクローズアップされるのですが、実は小幡がいるから、彼らが引き立つのです。運動量も多くて頭も良いですから」と攻守の要である小幡がチームの心臓であることを大木監督は力説した。2点目を挙げた清水も「いつもスルーパスなど良いパスをくれてとてもやりやすいです」と信頼を寄せている。
 
 冬開催になったことで長身選手、身体能力の高い選手に注目が集まりやすくなった今大会が、そうした中で頭脳的なプレーができ、攻守両面で積極的に関われる小柄な選手の重要性も非常に高まっていると言える。体格のいい選手が少ないチームは、そうしたタレントをいかに育てるかが今後重要になってくる。小学生の時に小柄な選手も中学生になってから、小学生の時身長や身体能力で先行していた選手に追いつくことは多い。追いついた時いかに頭を使って勝負できる選手を育てるかが今後の育成にとって大事なことだ。
 
 神戸の主力選手は中学進学後、地元ヴィッセル神戸U-15や、ガンバ大阪ジュニアユース、セレッソ大阪U-15、セレッソ大阪U-15西など関西Jクラブアカデミーでプレーすることが決まっている。横浜FMも今後ジュニアユースでの活躍が期待されている。
 
 試合後テレビ中継のゲスト解説を行なった原口元気(ドイツ・ヘルタベルリン)は選手たちに向けて「サッカーに対する熱い気持ちを見られて嬉しかったです。まだ12歳でこれからのサッカー人生の方が長いので、勝ったチームも負けたチームも僕自身もまだまだこれからです。みんなと一緒に夢に向かって頑張って行ければと思います」とエールを贈った。将来性豊かな選手たちが将来、世界を相手に戦える選手になることを期待したい。
 
取材・文:小林健志(フリーライター)
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