【連載】蹴球百景vol.8「2016年の日本サッカーを『アンダーカテゴリー』から振り返る」

カテゴリ:Jリーグ

宇都宮徹壱

2016年12月29日

栄えあるに1位に輝いたのは…。

J1昇格プレーオフ決勝ではC大阪の選手たちがかつての同僚であるストライカーに黙祷を捧げた。写真:宇都宮徹壱

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●4位 最後のJ2・J3入れ替え戦。栃木の立場は?
 
 今季のJ3では、ぶっちぎりの首位だったものの大分の猛追で2位に終わり、臨んだ金沢との入れ替え戦でも中美慶哉の「恩返し弾」で敗れてしまった栃木。昇格を逃した直後には、来季からJ2・J3入れ替え戦が行なわれないことがアナウンスされた。栃木にとっては踏んだり蹴ったりの今シーズンだったが、来季の巻き返しに期待したいところだ。
 
●3位 FC東京の久保くん、15歳で「Jリーグデビュー」
 
 東京・駒沢で行なわれたFC東京U-23対長野の試合で、久保建英が後半から途中出場。15歳5か月1日でのJ3デビューを果たした。当日は観客もメディアの数も、およそJ3とは思えぬほど尋常な盛況ぶり。とはいえ「Jリーグ最年少出場記録を更新」という報道には、少なからぬ違和感を覚えた。都合の良い時だけJ3を「J1・J2と同じ」扱いにするのは大概にしてほしいものだ。
 
●2位 C大阪と千葉で活躍したケンペスに黙祷
 
 11月下旬、コロンビアでの飛行機事故に巻き込まれた、ブラジルのシャペコエンセ。犠牲者の中には2013年にJ2で得点王になったケンペスを含め、Jリーグにゆかりのある選手や指導者が5名も含まれていた。折しもJ1昇格プレーオフ決勝に臨んでいたC大阪は、試合前に天上の元チームメイトに黙祷を捧げ、見事に3シーズンぶりのJ1復帰を果たしている。
 
●1位 ロアッソ熊本、見事なJ2残留!
 
 第41節でJ2残留を決めた熊本は、最終的に12勝10分20敗の16位で今季をフィニッシュした。4月中旬に本拠地を襲った大地震により、うまスタは7月まで使用できず、それまでホームゲームは県外のスタジアムを転戦。延期試合も多かったため、変則的な日程にも苦しめられた。そんな中、熊本はクラブ一丸となってこの難局を乗り切り、また他のJクラブも(カテゴリーや地域の違いを越えて)熊本への支援を惜しまなかった。こうした甚大な自然災害が起こるたびに、我々日本のサッカーファンは強いつながりを実感できる。今年もそんな一年だった。
 
 それでは皆さん、どうぞよいお年を!

宇都宮徹壱/うつのみや・てついち 1966年、東京都生まれ。97年より国内外で「文化としてのフットボール」をカメラで切り取る活動を展開中。このほど『サッカーおくのほそ道』(カンゼン)を上梓。自称、マスコット評論家。公式ウェブマガジン『宇都宮徹壱ウェブマガジン』。
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