エース、ドラクスラーの“背信行為”に揺れ動くヴォルフスブルク

カテゴリ:ワールド

中野吉之伴

2016年12月10日

もはやこのチームのユニホームを着て試合に出ることはない⁉

ドラクスラーの件ばかりがクローズアップされているが、ゴメス(左)ら新戦力が完全にフィットしていないのも、大不振の要因であり、ヴォルフスブルクが解決すべき問題は少なくない。 (C) Getty Images

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 もちろん、チーム不振の責任を選手ひとりに背負わせるのは酷だ。どれだけ優れた選手でも、試合の流れ全てをひとりでコントロールすることなどできない。だが、苦しい状況に陥っている時に先頭に立つべき選手が、現実に背を向けて逃げ場を探すようでは活路を拓くこともできない。
 
 何かを変えなければならない。監督のバレンティン・イスマエルは前節のヘルタ戦で、ドラクスラーをはじめ、元ブラジル代表ルイス・グスタボらをスタメンから外すなど、大きな決断を下した。ドラクスラーにとっては、移籍後460日目で初めてのベンチスタートとなった。
 
「今回の自分の決断で、どの方向が望ましいのかを示した。名前で配慮したりはしない。戦う準備ができている選手が必要なんだ」とイスマエル監督が試合後にコメントしていたように、実際にこの試合では、ロスタイムの失点で敗れたとはいえ、終盤まで粘りを見せたのは確かだ。
 
 ドラクスラーは78分から途中出場したものの、ホームでの試合ながら、自軍サポーターから大ブーイングを受ける始末……。現実的に今のクラブ状況を見れば、全ての関係者の気持ちをひとつにし、同じ方向へと歩みだすことが重要だ。
 
 ところがそんな周囲の熱とは対照的に、ドラクスラーは試合後、「僕がどう思っているかは、夏に答えた通りだ」と、改めて移籍志願を口にしてしまう。
 
 もはや、ヴォルフスブルクのユニホームを着てドラクスラーが試合に出ることはないのではないかという話も出てきている。週明けの火曜日に1対1での話し合いを行なったイスマエル監督は、「ドラクスラーはよく練習をした」とだけコメントとしている。
 
 冬での移籍となるのか、あるいは残留なのかは分からない。だが、この先どうなろうとも、イスマエル監督が「段階を乗り越えなければならない。自分のパフォーマンスで状況を元通りにする可能性をいつでも持っているんだ」と語っていたように、今やるべきことから目をそらすべきではないだろう。
 
 取り組みの全てが結果として表われるわけではない。だが、歩もうとするプロセスは、ピッチでの動きに間違いなく反映されるのだから。
 
文:中野 吉之伴
 
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/ドイツ・フライブルク在住の指導者。2009年にドイツ・サッカー連盟公認のA級コーチングライセンス(UEFAのAレベルに相当)を取得。SCフライブルクでの研修を経て、フライブルガーFCでU-16やU-18の監督、FCアウゲンのU-19でヘッドコーチなどを歴任。2016-17シーズンからFCアウゲンのU-15で指揮を執る。1977年7月27日生まれ、秋田県出身。
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