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【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』其の百「大事なのは『何人いるか?』ではなく『どこにいるか?』だ」

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2016年12月09日

「数的優位は数的不利」という逆説的な答えに突き当たる…。

世界が注目する大舞台で、鹿島はどれだけの完成度を示すことができるか。強豪と対峙する今後の戦いに要注目だ。 (C) SOCCER DIGEST

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 日本の指導者はチームの戦術を鍛えるなかで、数的優位を作ることに躍起になっている。しかし、永遠に答えは見つからない。「数的優位は数的不利」という逆説的な答えがそこにあるからだ。
 
「相手があるエリアに人をかけてきたら、他のエリアで人が足りなくなる」
 
 スペイン代表のアンドレス・イニエスタは言うが、この思想がトップレベルでは定着している。
 
 数的優位など、現象でしかない。追い求めて捕まえられたと思ったら、諸刃の刃のように自らを傷つける(そもそも、ほとんどの得点は数的に劣った状況で決まるわけで……)。
 
 ポジション的優位を作れるか、に全力を傾けるべきだろう。マルセロ・ビエルサやホルヘ・サンパオリは、逆算したトレーニングを重ねる。
 
 だからこそ、局面で溢れ出すように人が出てくる。そこには数的優位が存在するわけだが、それは現象に過ぎない。ポジション的優位を作る時、偶然に生まれる産物なのだ。
 
 Jリーグでは、選手の力は向上しつつある。しかし、チームとしての完成度で見た場合、ポジション的優位に達しているチームは少ない。川崎フロンターレなど幾つかのチームはあるが、スペインでは、3部のチームまでがそこが浸透している。
 
 始まったクラブワールドカップでは、鹿島アントラーズがJリーグ王者としてどこまで世界の強豪に挑めるのか――。見ものである。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。
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