【湘南】3度目の降格を味わった曺貴裁監督。それでも来季続投を引き受けた理由

カテゴリ:Jリーグ

隈元大吾

2016年12月03日

リーグ戦終了後、指揮官は渡欧し、ブンデスリーガを中心に足を運んだ。

「考え方はどのチームもブレてない」。ドイツで目にした各クラブのスタイルが、指揮官に改めて確信を与えた。

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「奪った瞬間の次のプレーが攻撃の第一歩にならなければいけないし、そのためにはより距離感を狭くして相手を網にハメて奪っていくことが大事。その奪い方や、奪ったあとの攻撃の第一歩のバリエーションを増やしていくことが2017年はすごく大事です。いままで湘南スタイルと言われた、人数をかけて後ろから上がっていくカウンターの形だけでなく、すべてにおいて質や量を上げて、究極を言えば全部できなければいけないと思っている。また、選手がピッチで自立し、ゲームの流れを読むことや変化を与えることを自分たちの判断でできるようにしなければいけない」
 
 レギュラーシーズンが終了したあと、指揮官は渡欧し、ブンデスリーガを中心に足を運んだ。そこで再確認したことがあるという。
 
「ドイツの3部や4部リーグの試合を見たときに、もちろん1部や2部より技術もフィジカルも劣ってはいるんだけど、考え方はどのチームもブレてない。土台にあるものは降格や昇格に左右されるものではなく、自分たちのプレーに対する自信やサッカーに対する考え方、ひととしてのあり方、そういうもので大きくなっていくものだと思う。選手の向上意欲を引き出していくと同時に、土台にあるものをもっと大きくしていかなければいけない。それは監督として大事にしていきたいなと、もともと思っていたけど、あらためて感じました」
 
 2000年代の苦しい時代から湘南の歩みに寄り添い、酸いも甘いも、ともに噛み締めてきた。若手とベテランの別なく選手たちの成長を促し、クラブの哲学を踏まえて築いた攻撃的なサッカーは、「湘南スタイル」としていまや多くが知るところとなった。その土台を、さらに大きく豊かに育んでいく。
 
 今回の決断について言及した際に語られた指揮官の言葉と、その力強いまなざしを思う。
「僕はサッカーに対する自分の純粋な想い、選手を育てたいという気持ちに関して誰にも負けたくないと思ってやっている。本質的に何をするかというところで、湘南というチームが自分を求め、選手の目も死んでないと感じたときに、自分の原理原則に基づいて最終的に選択したつもりです」
 
 振り返れば、確かに三度、憂き目に立ち会った。ただし、それは同じ数だけ昇格があったからこそ味わった悔しさに違いない。選手とチームにはまだまだ貴い余白が残されている。曺監督の指揮のもと、苦い、しかし得難い経験を糧に、湘南はさらなる成長の季節に臨む。
 
取材・文:隈元大吾(フリーライター)
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