原則――良い攻撃は安定した守備の上に成り立っている
相手の攻撃を封じる手立ては、必ず講じておかねばならない。得点を狙う時も、失点を防ぐためのポジションを、他の選手が同時に取れているか。その用心を軽んじたら、どこかで必ずしくじる。
ロシア・ワールドカップのアジア最終予選における、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表も、UAEを侮っていた。
その証拠に、失点を喫した時、矢印が前だけに向かっている。いるべき場所に選手がおらず、守りのバランスを欠いていた。それによってディフェンダーは無用な焦りが出て、不用意なファウルも犯している。
「攻められるならどこまでも攻める」という軽率さは危うく、足下をすくわれる原因になるのだ。
アルベルト・ザッケローニ監督が率いた日本代表も、2013年のコンフェデレーションズカップや、その翌年のブラジルW杯でその悪癖を晒している。
自分たちの攻撃に対してばかり熱くなって、後ろのカバーや守りの強度が疎かになった。その不用心を“自分たちらしさ”=パスサッカーで覆い隠した。ポゼッション志向は正しかったが、守りにおいての威を失っていた。
戦闘において、日本人はこの平衡感覚を保つのが決して得意ではない。
大量得点で勝つ。そこにプライオリティーを置くと、墓穴を掘りかねない。全員が前に猛進した場合、必然的に背後を取られるだろう。
「良い攻撃は、安定した守備の上に成り立っている」
それがサッカーの大原則なのである。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。
ロシア・ワールドカップのアジア最終予選における、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表も、UAEを侮っていた。
その証拠に、失点を喫した時、矢印が前だけに向かっている。いるべき場所に選手がおらず、守りのバランスを欠いていた。それによってディフェンダーは無用な焦りが出て、不用意なファウルも犯している。
「攻められるならどこまでも攻める」という軽率さは危うく、足下をすくわれる原因になるのだ。
アルベルト・ザッケローニ監督が率いた日本代表も、2013年のコンフェデレーションズカップや、その翌年のブラジルW杯でその悪癖を晒している。
自分たちの攻撃に対してばかり熱くなって、後ろのカバーや守りの強度が疎かになった。その不用心を“自分たちらしさ”=パスサッカーで覆い隠した。ポゼッション志向は正しかったが、守りにおいての威を失っていた。
戦闘において、日本人はこの平衡感覚を保つのが決して得意ではない。
大量得点で勝つ。そこにプライオリティーを置くと、墓穴を掘りかねない。全員が前に猛進した場合、必然的に背後を取られるだろう。
「良い攻撃は、安定した守備の上に成り立っている」
それがサッカーの大原則なのである。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。