• トップ
  • ニュース一覧
  • 【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』其の九十九「サッカーはバランスの上に成り立っていることを再確認すべし」

【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』其の九十九「サッカーはバランスの上に成り立っていることを再確認すべし」

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2016年12月01日

原則――良い攻撃は安定した守備の上に成り立っている

「自分らしさ」を貫くのは良いが、的確な状況判断とバランスを欠くと、無残な結果だけが残される。写真はブラジルW杯・コロンビア戦の日本。 (C) Getty Images

画像を見る

 相手の攻撃を封じる手立ては、必ず講じておかねばならない。得点を狙う時も、失点を防ぐためのポジションを、他の選手が同時に取れているか。その用心を軽んじたら、どこかで必ずしくじる。
 
 ロシア・ワールドカップのアジア最終予選における、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表も、UAEを侮っていた。
 
 その証拠に、失点を喫した時、矢印が前だけに向かっている。いるべき場所に選手がおらず、守りのバランスを欠いていた。それによってディフェンダーは無用な焦りが出て、不用意なファウルも犯している。
 
「攻められるならどこまでも攻める」という軽率さは危うく、足下をすくわれる原因になるのだ。
 
 アルベルト・ザッケローニ監督が率いた日本代表も、2013年のコンフェデレーションズカップや、その翌年のブラジルW杯でその悪癖を晒している。
 
 自分たちの攻撃に対してばかり熱くなって、後ろのカバーや守りの強度が疎かになった。その不用心を“自分たちらしさ”=パスサッカーで覆い隠した。ポゼッション志向は正しかったが、守りにおいての威を失っていた。
 
 戦闘において、日本人はこの平衡感覚を保つのが決して得意ではない。
 
 大量得点で勝つ。そこにプライオリティーを置くと、墓穴を掘りかねない。全員が前に猛進した場合、必然的に背後を取られるだろう。
 
「良い攻撃は、安定した守備の上に成り立っている」
 
 それがサッカーの大原則なのである。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。
【関連記事】
バルセロナDF「ペップ時代のバルサは面白くなかった」
Jリーグ・村井チェアマンが飛行機墜落事故でコメントを発表「こんなにも悲しいことはない」
【ミラン番記者】本田圭佑が完全に「置いてけぼり」を食う…
【ブンデス日本人の現地評】1G1Aの浅野と“キャプテン”酒井には賛否両論、「水中に潜ったまま」の原口… etc.
【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』其の九十八「当代最高の監督はペップで決まりだが、今年に限って見ると…!?」

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト ガンナーズを一大特集!
    5月2日発売
    プレミア制覇なるか!?
    進化の最終フェーズへ
    アーセナル
    最強化計画
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ