2008年から2012年まで、ジョゼップ・グアルディオラの下でバルセロナはクラブ史上で最も栄光に満ちた時代を過ごしてきた。
リーガ・エスパニョーラ3回、チャンピオンズ・リーグ(CL)2回、クラブワールドカップ2回といった輝かしいタイトル歴だけでなく、その究極のポゼッションサッカーは世界を席巻。サッカー界の新たな潮流を生み出す、歴史的なものだった。
流れるようなパスワークで相手守備陣を崩し、次々にゴールを生み出す様に、ファンは酔いしれ、「バルサ信者」は世界中に急速に増えていったが、一方でこのスタイルを好まない者が多々存在するのも事実である。そして当のバルサの内部にも……。
今シーズンよりバルサに加入した、フランス代表のサミュエル・ウンティティは、子どもの頃からバルサ・ファンであり、移籍会見では「夢が叶った」と喜びを露わにしたものである。
当然ながら、ペップ時代のバルサに酔いしれたひとりかと思いきや、「僕が好きだったのは、フランク・ライカールト監督が率いた時代のチーム」だと、カメルーンにルーツを持つ23歳のCBは語る。
「グアルディオラ監督時代よりもライカールト監督時代の方が楽しかった。ロナウジーニョやデコを擁してCLに優勝した時(2005-06シーズン)は最高だったね」
「ライカールト監督時代のバルサの、ボールのキープの仕方や回し方は、他では見られないものだったし、見ていてとても楽しかった。信じられないプレーが次々に見られたしね。それでも選手は、満足していない感じだったよ。あの頃の試合は、1試合たりとも見逃さなかった」
当時の思い出を熱く語るウンティティだが、ライカールト去りし後、すなわちペップの到来以降は、その熱も冷めていったという。
「段々と面白さはなくなっていったね。バルサのサッカーは好きだけど、この10年余りのボールをキープし続けるスタイルは……。でも、ルイス・エンリケ監督になってからは、また進化を遂げたと思う」
理想のスタイルを求めて、ウンティティは今、憧れのクラブで奮闘を続けている。