「徹底的に守備を強化したわけでもない。一番求めたのはポジショニング」
ターニングポイントとなったのは、19節・栃木戦の天王山だった。強固な守備網を築く首位を相手に決定機は作ったがゴールが遠かった。アディショナルタイムに失点し、痛恨の黒星を喫す。残り11試合で勝点差が9に広がる危機的状況に直面し、「リスクを負って攻撃するチームが多かったので、攻撃で上回るより粘り強い守備で勝点を積み重ねることを考えた」と片野坂監督。守備面の建て直しを図った。
「僕のなかでは特に守備を徹底的に強化したわけでもない。ただ、一番求めているのはポジショニング。そこは意識させました」
相手の攻撃を受ける際に、誰がどこにいるか分からないような陣形ではなく、ボランチはボランチ。CBはCBのいるべきところにしっかり戻ること。ポジションが間違っていると無駄な体力を使わなくてはいけない。そこを軽減すれば、攻撃にも良い影響が出てくる。守備のための守備ではなく、いかに良い形で攻撃につなげられるかを意識させた。
8月のリーグ中断期間と重なったことも幸いし、戦術を徹底できた。復調のキーパーソンの出現もあった。最後尾から的確なコーチングと徹底したリスク管理で守備陣を束ねたGK修行智仁。小柄だが無尽蔵のスタミナとボール奪取力に長けたボランチの姫野宥弥が攻守に渡る献身的な働きで、新たな戦術を具現化した。もちろん修行と姫野のふたりでチームを牽引したわけではないが、「やることが明確になった」(片野坂監督)のは事実だ。
興味深いデータがある。開幕から19節まで大分の失点は18だった。つまり1試合平均で約1失点。修行、姫野が入った20節から最終節までの11試合での失点は6。1試合平均の失点がそれまでのほぼ半分となっている。
基本的にブロックを作り、前から奪える状況なら前線の選手がスイッチを入れてボールを追いかける。そこに中盤の姫野らが連動して、最終ラインの押し上げを促しコンパクトな陣形を保つ。これが結論と言える形になり、後半戦の堅守の礎となった。
「シュウさん(修行)とヒメ(姫野)が入ってから、チームに守備の意識が芽生えた。守備が安定して1点取れば勝てるという気持ちの面で余裕も生まれた。試合をしていてもそれはすごく感じた」(八反田)
終盤戦に向けて、格好のサンプルとなったのが27節の秋田戦だ。前半に先制するが退場者を出し、後半はひとり少ない状況で試合を進めた。「残ったメンバーは粘り強く、我慢強く戦い、勝点3をもぎ取った。勝点3を取りたいという気持ちが最後まで続いたことが結果につながった」。このマインドが最終節までの5連勝を生み、逆転優勝を実現させたのだ。
「僕のなかでは特に守備を徹底的に強化したわけでもない。ただ、一番求めているのはポジショニング。そこは意識させました」
相手の攻撃を受ける際に、誰がどこにいるか分からないような陣形ではなく、ボランチはボランチ。CBはCBのいるべきところにしっかり戻ること。ポジションが間違っていると無駄な体力を使わなくてはいけない。そこを軽減すれば、攻撃にも良い影響が出てくる。守備のための守備ではなく、いかに良い形で攻撃につなげられるかを意識させた。
8月のリーグ中断期間と重なったことも幸いし、戦術を徹底できた。復調のキーパーソンの出現もあった。最後尾から的確なコーチングと徹底したリスク管理で守備陣を束ねたGK修行智仁。小柄だが無尽蔵のスタミナとボール奪取力に長けたボランチの姫野宥弥が攻守に渡る献身的な働きで、新たな戦術を具現化した。もちろん修行と姫野のふたりでチームを牽引したわけではないが、「やることが明確になった」(片野坂監督)のは事実だ。
興味深いデータがある。開幕から19節まで大分の失点は18だった。つまり1試合平均で約1失点。修行、姫野が入った20節から最終節までの11試合での失点は6。1試合平均の失点がそれまでのほぼ半分となっている。
基本的にブロックを作り、前から奪える状況なら前線の選手がスイッチを入れてボールを追いかける。そこに中盤の姫野らが連動して、最終ラインの押し上げを促しコンパクトな陣形を保つ。これが結論と言える形になり、後半戦の堅守の礎となった。
「シュウさん(修行)とヒメ(姫野)が入ってから、チームに守備の意識が芽生えた。守備が安定して1点取れば勝てるという気持ちの面で余裕も生まれた。試合をしていてもそれはすごく感じた」(八反田)
終盤戦に向けて、格好のサンプルとなったのが27節の秋田戦だ。前半に先制するが退場者を出し、後半はひとり少ない状況で試合を進めた。「残ったメンバーは粘り強く、我慢強く戦い、勝点3をもぎ取った。勝点3を取りたいという気持ちが最後まで続いたことが結果につながった」。このマインドが最終節までの5連勝を生み、逆転優勝を実現させたのだ。