ウィルシェアの代表復帰に疑問の声…だが、「未経験の世界」で蘇生しつつあるのは事実だ

カテゴリ:ワールド

山中忍

2016年11月08日

「ビッグクラブで育った自分には経験が足りなかった世界」でスキルとメンタリティーを磨く。

トッテナム戦ではデンベレ(左)のハードマークに苦しみながらも、怯むことなくプレーしたウィルシェア(右)。その果敢な姿勢がサウスゲイト代表監督の目に留まった。 (C) Getty Images

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 節目と思われるのは9節のトッテナム戦だ。ボーンマス指揮官のエディー・ハウが「前節での大勝(ハル戦○6-1)よりも意義がある」と表現したスコアレスドローは、スタンドでサウスゲイトも見守っていた。
 
 ボーンマスが相手のプレッシングサッカーに負けまいとした一戦で、ウィルシェアはフィジカルでは太刀打ちできないヴィクター・ワニャマとムサ・デンベレを相手にプレッシャーの掛け合いでも、ボールの奪い合いでも、最後まで怯まず、10点満点で7点は与えられるパフォーマンスを示した。
 
 試合後にはウィルシェアも「ポイントをもぎ取るためになり振り構わず戦うピッチは、ビッグクラブで育った自分には経験がなかった世界。そのピッチでのフルタイムは肉体的にも精神的にも大きい」とふっ切れた様子で語っていた。
 
 ウィルシェアはチームが連敗を喫した続く2試合でもキレのある動きを見せ、11節のサンダーランド戦では、ワンツーでボックス内に侵入してゴールに迫ったり、絶妙の浮き玉でゴールを演出し掛けたりと、プレーメーカーらしい姿を見せたのだ。
 
 もっとも、ハウが「活かし切れていない」と認めているように、周囲がウィルシェアの張り込みやポジショニングを見逃さないようになれば、ゴールに絡む頻度も格段に増えるだろう。
 
 来たる代表戦では、怪我によるデル・アリ(トッテナム)の欠場と、調子に波のあるロス・バークリー(エバートン)の代表落ちもあり、よりハイレベルな環境で攻撃のタクトを振り、かつ相手ゴールへの積極性を体現する機会を与えられるに違いない。
 
 まだ代表復帰をしたに過ぎないが、キャリア蘇生に臨んでいるウィルシェアは、現時点で、その第1段階を終了させたと言えるだろう。
 
文:山中忍
 
【著者プロフィール】
山中忍/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
 
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