【日本代表】ハリルの本質は"カメレオン"。豪州戦のドローは真骨頂だった

カテゴリ:日本代表

清水英斗

2016年10月17日

ハリルへの信頼はUAE戦で大きく崩れたが、オーストラリア戦では少し持ち直した。

今までとは方向性の違うハリルホジッチが率いる日本は、どんな方向へ向かうのか。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 もちろん、「ハリルホジッチの戦略が消極的」という批判はあるし、気持ちは分かる。「毎試合勝ちに行け」と、不満を抱える人は少なくなさそうだ。
 
 しかし、そもそもなぜ、このタイプの監督が日本代表を率いているのか。それは2014年のブラジルワールドカップ敗退に端を発する。
 
『自分たちのサッカー』が通用しないとき、それ以上の選択肢がなかったザックジャパン。コンディショニングにも失敗し、100パーセントでプレーできなかった。
 
 1-2で逆転負けした初戦のコートジボワール戦を思い返すと、相手は両SBを高い位置へ上げ、特に香川真司が守る左サイドから、アーリークロスの乱れ打ちで仕掛けてきた。日本は防戦一方だった。今回のオーストラリア戦とは異なり、ゲーム戦略として確信を持って守ったわけではない。ボールを持てず、運べず、やりたいことが出来ないまま、仕方なく守らされ、2点を失って逆転された。
 
 あの2014年を経て、今がある。ザッケローニの後任選びは、柔軟に戦術を使い分けること、ワールドカップで実績のある監督という条件が意識された。アギーレ、ハリルホジッチの就任も、ブラジル大会の反省がベースになっている。

 当時、『自分たちのサッカー』は散々に批判された。今の日本代表が、相手に合わせるカメレオン系の監督に率いられることは、むしろ自然な流れなのだ。
 
 もしかすると、2014年を反省しすぎて、こうなったのかもしれない。たとえば『自分たちのサッカー』、やってダメなら、もっとやれ、と。コンディショニングは反省するが、日本のサッカーに適した戦術を極める監督については、継続しようと。そんな発想なら、ハリルホジッチにはならなかった。不満があるなら、それは本人というより、当時の反省の仕方に問題があった、と見たほうがいい。
 
 個人的には、今までとは方向性の違うハリルホジッチが率いる日本を見届けたい。あれがダメ、これがダメと、もぐら叩きを繰り返しても何も残らないからだ。
 
 正直なところ、ハリルホジッチへの信頼は、UAE戦で大きく崩れたのだが、このオーストラリア戦では少し持ち直した。ゲーム戦略と実行戦術が、きちんとシンクロした試合だったことを評価したい。

取材・文:清水英斗(サッカーライター)
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