【なでしこリーグ】〝リオ・ショック″を払拭できるか。今季リーグ戦に見る人気回復の鍵

カテゴリ:高校・ユース・その他

西森彰

2016年10月14日

優勝したベレーザに見る、理想的な世代融合。

岩清水(右)らベテランと若手がうまくブレンドしたベレーザ。リーグカップと合わせ、今季2冠目を獲得した。(C)JFA

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 また今季、なでしこリーグのピッチ内には、新風が吹きこんだ。
 
 武仲麗依(INAC)、木下栞(長野L)、坂本美保(長野L)、浜田遥(仙台L)といった2012年のU-20“ヤングなでしこ”や、杉田妃和(INAC)、北川ひかる(浦和L)など2014年U-17女子ワールドカップを制した“リトルなでしこ”を中心に、若手が確実に出場機会を増やし、ベテランに負けじと躍動した。
 
 リーグ得点王も、16節終了時点で、ベレーザの田中美南(18得点)、長野Lの横山(15得点)による2012〝ヤングなでしこ″のメンバーによる一騎打ちになっている。
 
 2節を残して、独走状態で連覇を成し遂げたベレーザの勝因も、若手とベテランがうまくブレンドしたことだ。昨季はベテランに引っ張られていたチームも、今季は若手が軸となって牽引。“ヤングなでしこ”の田中や中里優、今季から10番を付けてエースの自覚が芽生えた籾木結花、ハードワークで攻守に貢献した長谷川唯、隅田凛らU-20女子代表のメンバーが、自ら試合を決する強い意志を、それぞれピッチ上に発露した。
 
 そして若手が解決できない問題には、ベテランが解答を示してみせた。大黒柱の坂口夢穂は、重要なゲームで得点を奪い、チームを救った。さらに有吉佐織は後方から攻撃をサポート。キャプテンの岩清水梓は、山下杏也加、清水梨紗、村松智子ら若い守備陣をまとめて、16節終了時点でわずか6失点に抑えた。
 
「開幕時の選手数は18人。どうなっちゃうのかなと思った」(森栄次監督)
 
「やっているほうは、それほど楽じゃありません。相手のスタミナを奪うためにボールを動かさなければいけないし、1点取られたらどう転ぶか分からない試合もあった」(岩清水)
 
 監督と選手は苦悩を口にするが、まさに盤石の強さだった。前線からハードワークを厭わず、パスコースを限定する組織的な守備を披露。相手がフルパワーで攻めてきている時間帯を凌ぎ、相手が疲れたところでしっかりとゴールを奪う。理想的な世代融合が、シーズンを通しての安定感を生んだ。
 
 各年代の代表に選手を送り出す際、森監督は「まず自分のストロングポイントを出して、経験を積んできなさい」と声をかけるそうだ。舞台に臆することなく、自分の特長を発揮できる若手が増えていけば、代表も、リーグも、さらに面白くなるだろう。

取材・文:西森 彰(フリーライター)
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