香川が代表で輝けない”理由”と、ドルトムントに見る”生きる道”

カテゴリ:日本代表

中野吉之伴

2016年09月28日

ビルドアップまでは機能。問題はその先の工程だ。

役割分担がまだまだ曖昧な日本代表のなかで、香川が苦戦するのはある意味当然かもしれない。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

画像を見る

 サッカーの攻撃局面は、「ビルドアップ」「ゲームメイク」「チャンスメイク」の3つに大きく分けられる。
 
「ビルドアップ」は攻撃の構築段階であり、自分たちでボールを回しながら狙い通りのポジショニングを取り、攻撃の体制を整えることが目的だ。

「ゲームメイク」では、そこからボールを運び、チャンスの起点を作り出さなければならない。CBやボランチからCFへの鋭い縦パス、あるいはスペースへとドリブルで持ち上がり、相手の守備にズレを生じさせられるかがポイントになる。

 そして「チャンスメイク」では、攻撃方向とスピードに変化をつけて相手のイメージを凌駕し、一気にゴール前までボールを持ち込む。
 
 ドルトムントでの香川が輝いて見えたのは、選手個々の役割分担と、チームとしての「ビルドアップ」「ゲームメイク」「チャンスメイク」の共通ビジョンができ上がっていたからだ。

 例えば15-16シーズンで言えば、CBのマッツ・フルメンスがビルドアップから展開し、イルカイ・ギュンドアンが運び、香川が変化をつけ、マルコ・ロイスやヘンリク・ムヒタリアンが抜け出し、CFのピエール=エメリク・オーバメヤンが決めるという、共通のイメージがあった。

 香川とすればボールに多く触りながらリズムを作って、「チャンスメイク」の局面で変化をつけるのがメインの仕事になる。お互いに狙いどころを分かっているから、次の展開をイメージしやすい。
 
 ところが、日本代表では役割分担がまだまだ曖昧に感じられる。「ビルドアップ」やパスを中心にボールを運べるが、そこからの「チャンスメイク」で問題を抱えてしまう。誰が、どこで、何を、どのようにプレーすべきかが定まっていないから、選手Aが「ここだ!」と思っても、選手Bは「あそこでしょ!」となり、決定的なプレーにつながらない。

 香川にしても、起点がないままボールが運ばれてきたり、出口がないままボールを受けて、そこからチャンスに持ち込めずにいる。
 
 一時期不振に陥った14-15シーズンのドルトムントもそうだった。各局面で選手が考えてプレーしていると、必然的にプレースピードは遅くなり、それに伴い動き出しのタイミ ングがズレて、パスミスも増える。悪い流れを変えようと、「俺がなんとかしなければ!」と責任を感じて普段以上のプレーをしようとするが、判断力に乱れがあるなかでは、不用意なチャレンジでボールロストにつながることが往々にしてある。決定機に慌ててしまうのも、こうした悪循環に苛まれているからだろう。
【関連記事】
【日本代表】9月の最終予選ではノーゴール…。香川をスタメンから外すべきか?
「日本のベストプレーヤーは4番!」各国記者がU-16日本のMF平川怜を大絶賛
【セルジオ越後】久保建英で“稼ごう”としている日本メディア。4年後を見据え、スターを作ろうとする風潮はどうかと思うよ
【識者の視点】金崎を無期限追放としたハリル監督の判断は妥当?--vol.2「トルシエと松田のような関係になれれば…」
【ミラン番記者】本田圭佑の「バルサ売り込み」は本当だった! 関係者が真相を激白

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト ガンナーズを一大特集!
    5月2日発売
    プレミア制覇なるか!?
    進化の最終フェーズへ
    アーセナル
    最強化計画
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ