メッシやイニエスタの武器を一言で答えるのは不可能だ。
武器はなにか。
その視点だけで語ると、良質なフットボーラーを見逃すことになる。リオネル・メッシの武器はなにか? アンドレア・イニエスタの武器はなにか? その問いに、一言で答えられる人はいない。単純なフィジカル能力やボールテクニックではないからだ。
変幻。
あえて言えば、それこそがトップレベルのサッカー選手の武器になり得る。
サッカーで一番大事なのは、おそらくタイミングだろう。敵と味方とボール、スペースと限られた時間の中、どこで、いつ、どのような選択を下すのか。高い強度の中でもスキルを出せるように力を高める、同時にその精度を高める。さらに連係することで技量を倍加できる。
逆説すれば、タイミングをつかめば相手の技も封じられる。そこに戦術の応酬があるわけだ。
そうした適応力のある選手だけが、トップステージに立てる。
武器はなにか――。それが簡単に伝わる選手は二流の域を出ない。
サッカーというスポーツは常に局面が動き、変わり続ける。一瞬、自らが止まるだけで相手の動きを逆手に取り、スピードアップすることができるし、その逆も然りだろう。単純であるべきだが、突き詰めればどこまでも複雑なスポーツで、だからこそ「武器はなにか」という定型の視点を持つべきではない。わかりやすい武器は、常に足かせや諸刃ともなり得る。
武器は持っているか、ではない。状況を切り拓く技術や判断力によって、「用いているか」。そこに基準が置かれるべきである。
文:小宮良之
【著者プロフィール】
小宮良之(こみや・よしゆき)/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。
その視点だけで語ると、良質なフットボーラーを見逃すことになる。リオネル・メッシの武器はなにか? アンドレア・イニエスタの武器はなにか? その問いに、一言で答えられる人はいない。単純なフィジカル能力やボールテクニックではないからだ。
変幻。
あえて言えば、それこそがトップレベルのサッカー選手の武器になり得る。
サッカーで一番大事なのは、おそらくタイミングだろう。敵と味方とボール、スペースと限られた時間の中、どこで、いつ、どのような選択を下すのか。高い強度の中でもスキルを出せるように力を高める、同時にその精度を高める。さらに連係することで技量を倍加できる。
逆説すれば、タイミングをつかめば相手の技も封じられる。そこに戦術の応酬があるわけだ。
そうした適応力のある選手だけが、トップステージに立てる。
武器はなにか――。それが簡単に伝わる選手は二流の域を出ない。
サッカーというスポーツは常に局面が動き、変わり続ける。一瞬、自らが止まるだけで相手の動きを逆手に取り、スピードアップすることができるし、その逆も然りだろう。単純であるべきだが、突き詰めればどこまでも複雑なスポーツで、だからこそ「武器はなにか」という定型の視点を持つべきではない。わかりやすい武器は、常に足かせや諸刃ともなり得る。
武器は持っているか、ではない。状況を切り拓く技術や判断力によって、「用いているか」。そこに基準が置かれるべきである。
文:小宮良之
【著者プロフィール】
小宮良之(こみや・よしゆき)/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。