連載|熊崎敬【蹴球日本を考える】モンバエルツ監督が真のプロ指導者と言える訳

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェストWeb編集部

2016年09月19日

技ができないのはコーチのせい――ある日本人柔道家のフランスでのエピソード。

第2ステージ6節の名古屋戦では痛恨のドローを喫した横浜だが、その後は課題を修正。順位をステージ3位まで上げている。写真:田中研治

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 思考を伝え、実践させられるモンバエルツ監督のことを考えていて、思い出したことがある。
 それはかつての柔道のメダリストで、フランス代表を指導した経験を持つ日本人女性の言葉だ。フランスで少年を指導した時のエピソードが興味深かった。
 
 仮に練習が1時間として、その中である技についてコーチが教えるとする。説明が30分、その後、少年たちが実際に技をやってみる。このとき多くの少年が技ができない場合、それはだれの責任になるか。
 
 日本の場合は、話をちゃんと聞いていないとか、下手くそだということになって、できない少年が悪いということになるかもしれない。教える側が元代表選手や元メダリストであったら、なおさらだ。
 だが、フランスは違うらしい。彼女によると、少年が技をできないのは伝えられないコーチが悪い、となるのだ。
 
 すべてはコーチの導き方次第。そのため彼女は日夜、どうすれば自分の言葉を正しく伝えられるか悩みに悩んだという。だが、それが思い通り伝わったときの喜びは、何物にも代えがたかったとも語っていた。
 
 フランスには、民族、宗教、言語など、多様なルーツを抱えた人々が暮らしている。日本的に言えば、みんなが「個性派」。こうした人々に自分の考えを伝え、実践させるのは至難の業だが、それができるのがプロの指導者ということだ。
 
 見た目も言葉も地味だが、モンバエルツ監督はプロの指導者としての役目をしっかりと果たしている。
 3-1で快勝した新潟戦も、名古屋戦後に語った形がそのままピッチに表われていた。
 
取材・文:熊崎 敬(スポーツライター)
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