久保建英のすべて<3>――順調な日々からの暗転。彼は試合を眺めているしかなかった

カテゴリ:高校・ユース・その他

サッカーダイジェスト編集部

2016年09月16日

お別れ会の席では多くの人が涙を流して人気者の帰国を悲しんだ。

2015年3月に、久保は慣れ親しんだ仲間たちに別れを告げ、日本に帰国。FC東京U-15むさしに加入することに。(C) Getty Images

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 クリスマス休暇のあと、久保は一度バルセロナに戻るものの、15年3月29日、彼とその家族は日本に完全帰国する。久保はその決断を木曜日にチームメイトに伝え、土曜日にはお別れ会が開かれた。この土曜日はエスパニョール戦がある日だった。
 
 久保のいないバルサは1-0で永遠のライバルを下したが、それが彼にとってバルサでの最後の試合となった。お別れ会の席では、久保の両親を含む多くの人が涙を流し、マシア(バルサの選手寮であり下部組織の総称)の人気者の帰国を悲しんだという。
 
 3シーズンに渡り、練習試合以外ではほぼプレーしていなかったにもかかわらず、久保は新たなクラブ、FC東京(U-15むさし)ですぐさま本来のパフォーマンスを取り戻した。帰国を決めた久保のもとには多くのオファーが舞い込んだが、彼は東京を選んだのだ。
 
 年齢的にはU-15であるにもかかわらず、飛び級でU-17日本代表に選抜され、この8月に行なわれたU-18のクラブユース選手権では、3歳も年上の選手に混じってプレーし、チームの優勝に貢献するとともに、自らは5ゴールを挙げて得点王に輝いている。
 
◆プロフィール
久保建英(くぼ・たけふさ)
2001年6月4日、神奈川県川崎市生まれ。167センチ・59キロ。小学1年で地元の川崎市麻生区の少年少女を対象にした「FCパーシモン」に入団。小学3年からは1学年上の川崎フロンターレU-10でプレー。09年に横浜で開催された「FCバルセロナキャンプ」で脚光を浴び、11年8月にバルセロナの下部組織に加入する。チームの中心選手として活躍するが、その後、未成年の海外移籍を禁止するFIFA規約第19条に抵触するとして、バルサでの公式戦出場を禁じられると、15年3月に帰国を決断。FC東京U-15むさしに入団する。現在は飛び級で、FC東京U-18でプレー。U-17日本代表にも名を連ねる。
 
文:オリオル・ドメネク(ムンド・デボルティーボ紙)
翻訳:豊福 晋(サッカーライター)
 
※『サッカーダイジェスト』9月22日号(9月8日発売)より抜粋
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