連載|熊崎敬【蹴球日本を考える】底知れぬ大器。柏の19歳CBが吉田&森重の牙城を脅かす!?

カテゴリ:連載・コラム

熊崎敬

2016年09月11日

十代にして最後尾からゲームを操る落ち着き。とにかくゲームと敵が見えている。

鹿島戦では対面の鈴木を封じ込んだ。弱冠19歳ながら落ち着いた対応で最終ラインを統率するひとりだ。写真:徳原隆元

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 まずCBとしては当然だが、強さと激しさを備えている。対面の鈴木優磨とのマッチアップは完勝。金崎を背後から厳しく削る場面もあった。
 
 左足のボールコントロールが巧みで、長短の正確なパスによってゲームを創ることができる。50メートルのロングパスをきれいな回転でしっかりと味方の足下につけたかと思えば、際どいスルーパスを繰り出す場面もあった。
 
 敵をしっかりと引きつけ、その背後にパスを通すことができるし、前方にスペースがあると果敢に最後尾からドリブルで持ち上がる。そのあたりの判断とボールタッチが的確で、迷いがないのだ。
 
 中山に任せておけば大丈夫、そうした安心感はチームメイトにもあるはずだ。GK中村がキャッチしたボールのほとんどを中山につないでいるのが、その証だろう。
 
 十代にして、最後尾からゲームを操る。これは多少のプレッシャーには動じない落ち着きがなければ、できないことだ。とにかくゲームと敵が見えている。
 
 鹿島戦でも、そのことを物語るプレーがあった。
 
 38分、鹿島がカウンターを仕掛けた場面で、浮き球に身体を寄せた中山は頭で近くにいた中谷にパスをつないだ。
 この時、彼はヘディングで大きくクリアする素振りを見せ、敵の動きを止めてしまったのだ。こうして安全を確保した上で、中山は味方にヘッドでつないだ。記者席で見ていた私も、これには完全に騙されてしまった。
 
 このところ日本代表を巡っては、CBが無風区であることを問題視する声が頻繁に聞かれる。柏の中山は底知れぬ将来性を秘めた大器。近い将来、吉田&森重の牙城を脅かす存在になるかもしれない。
 
取材・文:熊崎 敬(スポーツライター)
 

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