さらに林が続ける。
「１点目は確かに、相手（宇賀神）を褒めるしかない良いシュートだったけど、やっぱり２点目はいらなかった。先制された後、今までチームとして出来ていたことが微妙にズレ始めた」
 
　41分に先制された３分後に追加点を奪われ、ハーフタイムに入るという鳥栖にとっては痛恨の展開となってしまった。この展開もまた、後半の反撃に影を落とす結果となったと林は語るのだ。
「１点取られて（ズレが起きていた）あの状況をどれだけまとめられるかというのが重要だった。０-１で終えられていれば、後半の状況も変わっていたと思う」
 
　後半、鳥栖は３バックにシステムを変更し、前半は左サイドで奮闘していた福田を右サイドに、右サイドのキム・ミヌをトップ下に配置して反撃に打って出る。しかし、２点のリードを得て、無理せずしっかりとスペースをカバーする浦和の守備を崩し切るまでには至らなかった。
 
「１失点しても簡単に次に点を取られない粘りがウチの良さでもある。そこが次のゲームに向けて必要になると思う」
 
　次節の相手は、この日の相手であるペトロヴィッチ監督がベースを作り上げた広島だ。
「次もやり方は近い相手なので、今日の試合（浦和戦）を生かした戦い方をしたいし、焦れないということが、僕自身もチームとしても必要だと思います」
 
　鳥栖は今節の敗戦で６位に後退。上位戦線に生き残るためにも次節は勝利が欲しいところだ。最後尾からの冷静な分析眼が、次の広島戦で生かされるだろうか。
 
取材・文：長沼敏行（サッカーダイジェストWeb編集部）