怪我なくプレーすること――。短くもすべてが詰まった目標設定
8月16日の対エクセルシオール戦(2対1の勝利)、前半の上田はほとんどボールタッチがなかったが、それでも前線で相手のCB2枚を引き付けることによって、味方にスペースを作る戦術的役割を遂行していた。ストライカーの中には降りてボールタッチを増やしてリズムを作るタイプもいるが、上田はそれをせず先制ゴールを挙げてエースの務めを果たした。
「相手のCBと戦うことがチームのビルドアップで求められていること。なるべく高い位置を取って、中盤にスペースを作る。僕は、降りて組み立てるタイプでもないので、空けておく」(エクセルシオール戦後の上田)
10月2日のヨーロッパリーグ、アストン・ビラ戦で上田はコーナーキックから高打点のヘッドでゴールネットを揺らしたが、味方のファウルによって得点が認められなかった。
ロビン・ファン・ペルシ監督は今季開幕直後、「うちの選手のフィジカルデータはなかなか良い。なかにはプレミアリーグレベルの選手が何人かいる」と語ったことがある。その答え合わせを指揮官とするタイミングを逸したものの、アストン・ビラ戦の豪快ヘッド、ユトレヒト戦の後半アディショナルタイムという遅い時間帯でも衰えないデュエル強度などを振り返れば、ファン・ペルシ監督の意図した選手のひとりは上田のことでほぼ間違いないはずだ。
日本人選手たちがよく「Jリーグと違って、欧州のリーグは思わぬところから足が出てくる」と言うが、アストン・ビラ戦では上田が相手DFの気付かぬところから足を伸ばしてボールに先に触るシーンがあった。また、中盤に降りてビルドアップに絡んだり、スルーパスを出すなど、アストン・ビラ戦はより幅広くプレーに絡みだした時期でもあった。
「相手のCBと戦うことがチームのビルドアップで求められていること。なるべく高い位置を取って、中盤にスペースを作る。僕は、降りて組み立てるタイプでもないので、空けておく」(エクセルシオール戦後の上田)
10月2日のヨーロッパリーグ、アストン・ビラ戦で上田はコーナーキックから高打点のヘッドでゴールネットを揺らしたが、味方のファウルによって得点が認められなかった。
ロビン・ファン・ペルシ監督は今季開幕直後、「うちの選手のフィジカルデータはなかなか良い。なかにはプレミアリーグレベルの選手が何人かいる」と語ったことがある。その答え合わせを指揮官とするタイミングを逸したものの、アストン・ビラ戦の豪快ヘッド、ユトレヒト戦の後半アディショナルタイムという遅い時間帯でも衰えないデュエル強度などを振り返れば、ファン・ペルシ監督の意図した選手のひとりは上田のことでほぼ間違いないはずだ。
日本人選手たちがよく「Jリーグと違って、欧州のリーグは思わぬところから足が出てくる」と言うが、アストン・ビラ戦では上田が相手DFの気付かぬところから足を伸ばしてボールに先に触るシーンがあった。また、中盤に降りてビルドアップに絡んだり、スルーパスを出すなど、アストン・ビラ戦はより幅広くプレーに絡みだした時期でもあった。
トゥベンテ戦での上田を「良かった」とは言えない。しかし、フェイエノールトの中盤が崩壊してしまう、ストライカーにとっては苦痛の試合展開の中でも、上田は右から左にターンしてボールを逆サイドに散らしたり、前線で相手を背負いながらポストプレーしたり、試合終盤に相手ゴール前へ迫ってシュートを撃ったりした。ひと言でまとめれば「不発」で終わる試合だったが、それでも上田のゲーム関与とストライカーとしての雰囲気に「アヤセがピッチの上に立ち続けてくれないと、フェイエノールトはどうしようもない」と信じたサポーターがほとんどだったはずだ。
上田はこの半年間、フィットし続けた。Jリーグ時代から相手DFを恐れさせたフィジカルは欧州でも健在で、セルクル・ブルージュに移籍後もゴールマシーンぶりを見せつけたが、フェイエノールトにステップアップ後、1年目はサンティアゴ・ヒメネスの高い壁に遭い、2年目は好調期があったものの怪我に泣いた。昨季つかんだ好感触をシーズン通じて披露し続けること――。それが今夏の「今季の目標は怪我なくプレーすること」という短くも、すべてが詰まった目標設定につながっている。
フェイエノールト番記者は言う。
「ファン・ペルシも言っているが、アヤセ好調のベースはフィットネス。プレシーズンの彼は、2週間、DFのビルドアップに対してプレッシングを掛け続けることを繰り返した。DFのほうが人数は多いから、簡単にボールを回されてしまい、FWは大変だけど、彼は一生懸命そのことに取り組み、フィットネスが向上した。スパルタ戦の1点目、あれこそ今季の彼だった」
ゴール間近で相手DFを背負いながら、反転シュートを決めたスパルタ戦の得点(8月31日/4対0の勝利。上田は2得点)はパワー、切れ、相手の力の利用といったことが揃ったものだった。
上田はこの半年間、フィットし続けた。Jリーグ時代から相手DFを恐れさせたフィジカルは欧州でも健在で、セルクル・ブルージュに移籍後もゴールマシーンぶりを見せつけたが、フェイエノールトにステップアップ後、1年目はサンティアゴ・ヒメネスの高い壁に遭い、2年目は好調期があったものの怪我に泣いた。昨季つかんだ好感触をシーズン通じて披露し続けること――。それが今夏の「今季の目標は怪我なくプレーすること」という短くも、すべてが詰まった目標設定につながっている。
フェイエノールト番記者は言う。
「ファン・ペルシも言っているが、アヤセ好調のベースはフィットネス。プレシーズンの彼は、2週間、DFのビルドアップに対してプレッシングを掛け続けることを繰り返した。DFのほうが人数は多いから、簡単にボールを回されてしまい、FWは大変だけど、彼は一生懸命そのことに取り組み、フィットネスが向上した。スパルタ戦の1点目、あれこそ今季の彼だった」
ゴール間近で相手DFを背負いながら、反転シュートを決めたスパルタ戦の得点(8月31日/4対0の勝利。上田は2得点)はパワー、切れ、相手の力の利用といったことが揃ったものだった。




















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