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「日本の若者たちは躊躇わない」堂安、菅原、小川、塩貝…オランダの“目利きの達人”がサムライたちの入団秘話を明かす。「アイ・カム!って自分で決めちゃうんだ」【現地発】

カテゴリ:海外日本人

中田徹

2025年12月14日

「健人はちょっと気持ちがはやりすぎているのでね(笑)」

NECを率いるスフローダー監督。小川と佐野はもちろん、塩貝への強い期待を口にした。写真:中田徹

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 ディック・スフローダー監督に「あなたは日本人選手を上達させるエキスパートですね」と声をかけると「そう思う?」と答えた。特に(佐野)航大と(中山)雄太――と言うと、指揮官は「ユータ!」と言って満面の笑みになった。

「ユータはスペシャル。ユータは私のお気に入り。今、日本だよね」

 私にとってもPECズウォーレ時代の中山雄太(現町田ゼルビア)は忘れられない。2019年1月、柏レイソルからズウォーレに移籍した中山は、超がつくほどの多機能プレーヤーぶりを見せたが、それ以外のストロングポイントに欠けていた。しかし21年11月下旬、当時最下位だったズウォーレの監督にスフローダーが就くと、サッカーの質が高まり、勝点を積み重ねるようになった。

 ズウォーレのシステムは4-3-3から3-5-2に代わり、リベロに固定された中山は水を得た魚のように攻守に躍動。クレバーな守備、左サイドからの刺すような前線へのパス、ピッチ中央でのビルドアップなど、さまざまなタスクをこなして一躍注目される存在になった。結局、前半戦の不振が祟り、ズウォーレは降格したが、PSVとの最終戦(1―2の敗戦)後は、スタンディングオベーションでチームの健闘を称えるほど、スフローダー監督の指揮したズウォーレは魅力的で、中山も才能を開花させた。

 中山が「ズウォーレの頭脳」だったのなら、佐野は「NECの心臓」だ。だから私はこの2人の名前をスフローダー監督に挙げた。

「だけど、私は航基もより良い選手にしたと思います。健人も徐々に良くなってきました。健人は自身の向上に集中している。全体練習が終わったあともピッチに残って、コーチと一緒に個人トレーニングに励んでいます。その結果、テクニック、パス、シュート、ボールを呼び込む走りなど、どんどん向上しています。健人がより気持ちを落ち着かせてフットボールに取り組めば、さらに良くなるはずです。健人はちょっと気持ちがはやりすぎているのでね(笑)」

 スフローダー監督の言う通り、この日も塩貝は誰よりも遅くまでピッチに残って個人練習に励んでいた。
 
 日本代表にとってはJリーグ、オランダ代表にとってはオランダリーグ。やはり代表チームの基盤は国内リーグにある。プレミアリーグをはじめ、ラ・リーガ、セリエAで主力を務めるオランダ人選手もその多くはオランダ2部リーグ→エールディビジというステップを踏んでいる。そのことを前提に「日本はエールディビジから大きな利益を得ていると感じます」とスフローダー監督に尋ねた。

「そう思う? 日本人はドイツとか他の国でもプレーしている」

――特にNECから日本は利益を得ていると感じます。システムはともに3-4-2-1。

「ヤー!(はい、のオランダ語) 試合を見たよ。日本代表もかなり前がかりなチームだ」

――日本とNECのアタッキングサードは“5トップ+MF”。NECの場合は佐野航大が中盤から前線に入っていきます。

「私は彼がワールドカップに出場するのを願ってます」

――フェイエノールトのロビン・ファン・ペルシ監督は「(上田)綺世はオランイェ(オランダ代表の愛称)相手にゴールを決める力を持つ」と言った。航基はどうでしょう?

「もちろん、決めることができる。これまで航基は国際試合でいろいろな国からゴールを決めてきた。オランダ相手に決める力を当然、持っている。だけど健人も決められる。健人はNECでは途中出場でゴールを決めまくっている。だから、日本代表もその策を使える」

 オランダに来てから10ゴール(昨季4ゴール、今季6ゴール)を決めている塩貝は、そのすべてを試合途中からの出場で叩き出している。

――スーパーサブ、ピンチヒッター(オランダではサッカー用語化している)!

「ヤー。スーパーサブ、ピンチヒッター!」

 NECでの日々の練習は、そのまま日本代表の強化に繋がっている。いや、ファン・ペルシ監督率いるフェイエノールトでゴールマシーンと化した上田綺世、28歳にして代表チームに定着した渡辺剛、アヤックスでアンカー→CBの可変システムに必死に取り組んでいる板倉滉といった代表チームの主力たちも、各クラブでそれぞれのテーマを掲げて練習と試合に励んでいる。

取材・文●中田 徹
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