• トップ
  • ニュース一覧
  • 「日本の若者たちは躊躇わない」堂安、菅原、小川、塩貝…オランダの“目利きの達人”がサムライたちの入団秘話を明かす。「アイ・カム!って自分で決めちゃうんだ」【現地発】

「日本の若者たちは躊躇わない」堂安、菅原、小川、塩貝…オランダの“目利きの達人”がサムライたちの入団秘話を明かす。「アイ・カム!って自分で決めちゃうんだ」【現地発】

カテゴリ:海外日本人

中田徹

2025年12月14日

「彼らの夢、それは日本代表の青いユニホームだ」

小川(右)との2ショットに収まるアールベルスTD(左)。日本人選手との関りが深い名スカウトだ。写真:中田徹

画像を見る

 堂安律(フローニンヘン/現フランクフルト)、菅原由勢(AZ/現ブレーメン)、そして小川航基、佐野航大、塩貝健人(いずれもNEC)――。フローニンヘンとAZのチーフスカウトとして、NECではテクニカル・ディレクターとして、カルロス・アールベルスは5人の日本人選手をエールディビジの舞台に送り込み、その全員が活躍している。そんな「日本人選手の目利きの達人」と5分ほど立ち話をすると、何度も「サムライブルー」「青いユニホーム」「なんと素晴らしい」「アイ・カム」という4つのフレーズを繰り返した。

「日本人選手はヨーロッパでプレーしようとする意欲が高いですよね。イングランド、ドイツ、スペイン、オランダ、ベルギー…。いたるところにいます。

 若い選手にとってサムライブルーは夢。あの青いユニホームを着るために、彼らはヨーロッパでプレーしなければならない。『うちのクラブは君に興味がある』と声をかけると、日本人選手はためらうことなくヨーロッパにやって来る。なんと素晴らしいことなんだ」

 アールベルスTDは堂安をスカウトした当時を振り返る。

「私はそのとき、フローニンヘンのチーフスカウトでした。堂安は2016年のU-19アジアカップと17年のU-20ワールドカップで活躍し、ヨーロッパのいくつかのクラブが彼のことを追ってました。それでも彼は初めて声をかけたクラブに移籍することを決めたのです。他からのオファーを待つことなしにね」

 特に2ゴールを決めたイタリア戦(2―2の引き分け)はセンセーショナルだった。

――かつて、堂安選手は「ハンス・ナイラント社長(当時)とアールベルスさんが大阪まで直々に来てくれたのが嬉しかった。最初に声をかけてくれたクラブだし、フローニンヘンに行くと決めました」と言ってました。

「はい。私とハンスは開催地の韓国からそのまま大阪に飛びました。夢、それは日本代表の青いユニホーム。そのために、何がなんでもオファーの話が来たら、日本人は即座に決心してヨーロッパへ飛ぶ。ユキもそうだった」
 
“ユキ”とは菅原由勢のこと。当時、名古屋グランパスで期待の若手だった菅原だったが、トップチームに定着できず、「19年U-20ワールドカップ(ポーランド)で活躍して、自分はヨーロッパのクラブに移籍するんだ」という覚悟で大会に臨んだ。ベスト16で自身のミスから韓国に敗れたものの、大会中のプレーは輝いていた。

「私はAZのTDと一緒にU-20ワールドカップをポーランドで視察したうえで、ユキのマネジメント会社とコンタクトを取ろうとしたが、ユキ自身が『日本に一度帰ってから、すぐにオランダに行きます』と言い出したんだ。

 両親や兄弟、周囲にいる人と相談するのが普通。他のクラブからのオファーを待って、それから返事をするのも当たり前のこと。だけど日本の若者たちは『アイ・カム!(オランダに行きます。だから僕を獲ってください――という意味が含まれている)』と自分で決めちゃうんだ。それは夢のため。サムライブルー。あの青いユニホーム。なんと素晴らしい人たちなんだ」

 ここで居残り練習を終えた小川航基が来てくれた。アールベルスTDは「今、この記者に君たち日本人のことを褒めていたんだ。日本人選手たちは私が誘うと迷うことなく『アイ・カム!』って答えるって。君もそうだったよね」と小川に言った。そして小川にも分かるように、ここまでの話を伝えた。

「私は日本人の選手たちに感謝してます。日本人の若者たち、それは君(小川)もそうだったけど、堂安、菅原たちに私が『君に興味がある』と言うと『イエス、アイ・カム!』と即答した。ヨーロッパに行ってステップアップし、サムライブルーの青いユニホームを着るために。これから他のクラブからオファーが来るかもしれない。これから家族とも話さないといけない。だけど日本人選手は即座に『アイ・カム!』って言うんだ」

 純粋に夢を追うためにオランダにやって来た日本人選手たち。その姿勢にアールベルスTDは感銘を受けたのかもしれない。
【関連記事】
【選手名鑑】総勢24名! オランダ&ベルギーで活躍する“サムライたち”を顔写真で総チェック!
「欧州組を呼ぶ意味がよく分かった」NEC小川航基が森保ジャパンから得た“リアルな刺激”「自分も食い込んでいきたい」【現地発】
「得点王を狙ってます」オランダ首位に立つNECで“20歳日本人FW”も絶好調! 夏のザルツブルク移籍破談には「メディカルは問題なかった」「見返してやりたい」【現地発】
「オランダ代表への警告だ」怪我から復帰の日本代表アタッカーも今季初ゴールで存在感!「何かが起こるかもしれない。W杯への希望は捨てない」【現地発】
「日本はどんな国にも勝つ力がある」NECで躍動する日本代表コンビが“W杯敵国オランダ”への率直な想いを明かす! 周囲の人びとのリアルな反応にも直面【現地発】

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 2026年1月号
    12月12日(金)発売
    [特集]
    9年ぶりのJリーグ制覇
    鹿島アントラーズ
    鬼木体制で果たした「王座への帰還」
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 2025年12月18日号
    12月4日(木)発売
    [特集]
    25-26 欧州リーグ前半戦レビュー
    冬の通信簿
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 第104回大会 選手名鑑
    12月10日発売
    高校サッカーダイジェストVol.43
    第104回全国高校サッカー選手権大会
    選手権名鑑
    出場48チーム
    1440選手の顔写真&プロフィールを徹底網羅!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ