試合では、ウイングの突破力（特にマドゥエケ）、中盤の橋渡し役を務めたロジャーズの創造性、そしてケインのヘッドでの得点など、複数の形から得点が生まれたのは大きな収穫だった。セルビアの出来の悪さは考慮しなければならないが、W杯本大会を見据えたうえで、この試合はイングランドにとってターニングポイントになったと言っていいだろう。

　英BBC放送も、セルビアでの大勝を高く評価した。

「イングランド代表はトゥヘル体制で最も完成度の高いパフォーマンスを披露し、ベオグラードでセルビアを圧倒してワールドカップ出場に大きく前進した。チーム全体の出来は完璧に近かった。特にマドゥエケの貢献にはトゥヘル監督も目を細めたに違いない」

　今回の９月シリーズでは、ジュード・ベリンガム（レアル・マドリー）、コール・パーマー（チェルシー）、ブカヨ・サカ（アーセナル）の主力組が怪我で招集外となった。英紙『デーリー・テレグラフ』は「彼らを今のチームにどう組み込んでいくかが課題」と伝えながらも、代役となった選手たちがセルビア戦で躍動したことを「大きな成果だ」と伝えている。
 

「今回の代表チームは、比較的経験の浅いメンバーで構成された。25キャップ以上を持つ選手はわずか４人で、一桁台の選手も４人いた。トゥヘル監督の就任時にはベテランが優遇されるのではと予想されていたが、この日は怪我人の影響もあり、若さと新鮮さが際立った。

　特に右サイドでサカの代役を務めたマドゥエケ、そして元アイルランド代表MFロイ・キーンから『ポール・ガスコインを思わせる』と評されたロジャーズのプレーは印象的だった。２キャップ目のエリオット・アンダーソンも堂々たるプレーを披露。守備も非の打ち所がなかった」

取材・文●田嶋コウスケ

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