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川崎にとって守備強化にアレルギー反応はなかったのか?ACLE準優勝への歩みで脇坂泰斗が感じたチームの変化

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2025年08月03日

アレルギー反応はなかった

今季から就任した長谷部監督。その指揮官の下で新たなサッカーを見せている。(C)SOCCER DIGEST

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 ACLEで順調に準々決勝まで勝ち上がった川崎だが、その先の戦いを含め、今季光ったのは脇坂の言葉にも何度も出てきた組織的な守備であった。

 チームとして時間の経過とともに、ボールを握る時間も増えていっているが、これまで攻撃面に特色のあったチームとして、根本的な疑問として、守備を強化した今季の戦い方に対してアレルギー反応や葛藤はなかったのか。もっとも、そこは鬼木達監督の下で築き上げた昨季までのスタイルを尊重しながら、常に理路騒然と状況を整理する脇坂らしい答えだった。

「それまでのスタイルを大事にしながら(アレルギー反応などは)なかったと思いますね。やっぱり昨年の悔しさから、誰もが失点を減らす必要があると考えていたはずですし、シゲさん(長谷部監督)は最初のミーティングで、得点や失点に関するデータをバーッと出してくれて、昨年はリーグ2位だった得点数を1位にするためにバリエーションを増やすこと、クロスからの失点、セットプレーからの失点を減らすことなど、改善点を分かりやすく挙げてくれました。

 試合に勝つためのアプローチとして、こう勝ちたいという理想をまず掲げながら、こうしたら絶対に負けないという方法は間違いなくあります。そこを意識してシーズンに臨めたので、難しい試合でも勝点を拾うことができました。一方でリーグを制するためには、勝ち切る力がもっと必要だと思います。

 時間で攻守が変わるスポーツであれば良いんですよ。でもサッカーはそうじゃない。守備の時間を短くすれば攻撃に移れますし、勝つためにはボールを奪わないと、ゴールを守らないといけない。そこで攻撃ばかりしたいとは言っていられません。

 でも攻撃も守備ももっとできる。それが今のチームの最大の伸びしろだと思います。トータルで言えばまだ6割ぐらいの力しか出せていない感覚があります。1週間しっかり準備を積んで8割、9割の力を出せた試合もありますよ。でも、まだまだできる。一方で階段をひとつずつ登るように、やりながら成長できている実感もあります。

 守備面に関しては確率論の面もあります。例えば1対2のシチュエーションを作られた時に、失点する確率が高いほうをしっかりケアできるか。当たり前のことなんですが、そこを徹底できているのが今につながっていますし、よりやっていきたいです。
 攻撃面に関しては再現性のある攻撃と意表をつく攻撃のバランスも大事だと思います。そのためにも選択肢を多く作る。例えばゴールが決まったシーンでも、もっと良い角度はあったのか、シュートを打つ選手に他の選択肢も提示できていたのか、またそこに至るところまでの形などをより突き詰める必要があります。

 プレーを選択するのはボール保持者ですが、その選手にどれだけの選択肢を与えることができるか、またボール保持者が対峙しているディフェンダーに、周囲の味方がどれだけ影響を与える動きができるか。センターFWがシュートを打つ時に、自分はトップ下ですが、横で見ているのか、もうひとりの相手のセンターバックを食いつかせるのか、一対一の局面作ってあげることなどが、どんどん良いプレーにつながっていく。ポジショニングや準備が大切です。

 プラス、マルシーニョのように相手が対策をせざるを得ない能力があるからこそ、優位性を作ることもできています。アキさん(家長昭博)、(大島)僚太くん、(山本)悠樹ら時間を作れる選手もいますし、そうした選手を活かす形もできていると思います」

 川崎らしさに加えた守備の新たなエッセンス。そのスタイルを磨きながら、川崎はアジアの舞台を力強く勝ち上がっていくことになった。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

(第3回に続く)

【第1回】川崎・脇坂泰斗が明かすACLE準優勝への道のり。長谷部新体制での変化、初戦に見舞われたまさかのトラブル

【第3回】C・ロナウド、ブロゾヴィッチ、フィルミーノ、マフレズらとの対戦を経て得たモノ。川崎の脇坂泰斗が感じたACLEを日本クラブが勝ち上がるためのヒント

【記事】ACLEを経験して佐々木旭のプレーは何が変わったのか。不公平にも映った大会を“楽しめた”オニさんからの言葉と膨らむアジア制覇への夢

 
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