ポーランドで目覚ましい飛躍を見せた森下も、常連組と競わせてみたくなった人材。所属先でウイングやサイドハーフ、シャドーなど攻撃面を磨いてきた通り、この日は推進力やゴール前の鋭さを発揮。結果も出している。

　右ウイングバックは伊東純也（S・ランス）や堂安律（フライブルク）ら既存戦力に加え、オーストラリア戦でインパクトを残した平河悠（ブリストル・シティ）も参戦してきて、競争はかなり熾烈だ。

　それでも森下は「僕はサイドバック上がりなので、高い位置でも低い位置でもプレーできるのが強み。他の選手にないフリーランや逆サイドに入っていくところで違いを出せると思います」と強調。真っ向から勝負していく覚悟だ。そういう強気のマインドは今のチームに欲しいところ。かつて大きな差を感じた三笘薫（ブライトン）ら大学時代の盟友たちと９月以降、再共演するチャンスを与えてみてもいいのではないか。
 

　先述の３人はいずれも復帰組だが、今回初招集だった７人に目を向けると、大きなサプライズを与えたのが鈴木淳だ。

　インドネシアの攻撃陣があまりプレスをかけてこなかったこともあったが、彼は攻撃の起点となる縦パスを次々と供給。インターセプトの回数も多く、代表デビュー戦とは思えない存在感を示していた。

「１対１の部分も強かったし、ビルドアップの関わり方も良かった。もちろん、もっと改善できるところはあるとは思いますけど、個人のパフォーマンスという意味では、すごく良かった」と、湘南の先輩にあたる遠藤にも太鼓判を押されたほどだ。

　１年前までボランチだったため、ボール扱いに優れ、360度を見ながら配球できる強みも発揮。守備面でも「すごく集中していたので良い守備ができた」と本人も納得の表情を浮かべていた。鈴木淳の場合は７月のE-１選手権で再テストがあるはずだが、９月以降に再び日の丸をつけられるかはそれ次第だろう。

　ただ、全員に言えることだが、大事なのは今後のクラブでの高値安定のパフォーマンス。それがなければ序列を上げることはできない。彼らはまだスタートラインに立っただけ。インドネシア戦の好評価を生かすも殺すも自分次第。それだけは忘れてはいけない。

取材・文●元川悦子（フリーライター）

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