振り返ると、大橋はシーズンを幸先良くスタートした。

　２部開幕戦（ダービー戦）で途中出場すると、初ゴールを奪取。２節のノーリッジ戦でも１ゴールをマークし、スタートダッシュに成功した。ジャクソン記者によると、２ゴールを叩き込んだ第５節のブリストル・シティ戦で、サポーターのハートを鷲掴みにしたという。

「ブリストル・シティ戦で決めた２ゴールで、ユウキは非常に高く評価されるようになった。私も、あの試合の２ゴールは印象に強く残っている。

　ユウキの長所は、得点だけにとどまらない。エネルギッシュに動き回り、前線からの積極的なプレスでチームを助ける。もちろんチャンスと見れば、スペースに飛び出してラストパスを引き出す。非常にクレバーな選手で、周囲との連係プレーも巧みにこなした」

　しかし順風満帆とはいかなかった。６節から22節までの約３か月間、大橋はゴールから遠ざかった。それでもジョン・ユースタス監督の信頼は揺らがなかったという。ジャクソン記者は証言する。

「ユウキの獲得を決めたユースタス監督は、チームのためにハードワークができる選手を高く評価していた。好みのフォワードは、プレスをさぼらず、チームのプレスの型をきっちりこなせる選手。ユウキは、その要求に応えていた。

　トップ下で起用された試合もあり、ゴールから遠のいた時期もユウキへの信頼は揺らがなかった。懸念だったフィジカルプレーと、マーカーへの激しい寄せにもきちんと対応していたと思う。空中戦を見ても、背がさほど高くないわりに勝っていた。身体の使い方が上手いんだ」
 

　今年２月には、ブラックバーンに激震が走った。プレーオフ出場圏内の５位につけるなど好調を維持していたが、ユースタス監督がまさかの退団。しかも同リーグ21位のダービー・カウンティの新指揮官に就任するという「異例の展開」だった。ブラックバーンが「この時期の退団に失望している」との声明文を発表するほど、そのショックは大きかった。

　この時、大橋は１月１日のリーズ戦で負った足首の怪我で負傷離脱中だった。チームの成績は下降し、大橋もおよそ１か月半にわたってピッチを離れる苦しい時期が続いた。

　だがジャクソン記者は、この離脱期間が後にプラスに作用したと話す。

「離脱期間に十分な休養が取れたのが良かった。ブラックバーン加入前、ユウキはJリーグのシーズンの半分を戦っていた。Jリーグは24年２月に開幕していたので、ユウキは負傷前の時点でほぼ１年間、フル稼働していた計算になる。休養は大きな意味を持っていたよ」

　同記者の言葉通り、復帰後の大橋はゴールとアシストを重ねた。２月23日のスウォンジー戦でベンチ入りし、３月９日のノーリッジ戦でスタメンに復帰。ここからの11試合で４ゴール・３アシストと大暴れした。

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