もちろんクラブとしても増収策を考えていないわけではない。たとえば、５月17日の高知ユナイテッドSC戦当日には「レディースデ―」というイベントを実施。女性の来場者にはギフトをプレゼントするような試みも行なっている。当日はあいにくの雨で、観客数も2421人にとどまったが、様々な工夫を凝らさなければ観客層を増やしていくことはできない。細貝社長も現役生活の経験も踏まえつつ、「トライ＆エラーの重要性」を強く感じている様子だ。

「レディースデーはクラブのスタッフがアイデアを出して、実現にこぎつけました。プレゼントしたギフトは冷却タオルと入浴剤をセットにしたポーチで、そういうノベルティを作るにもコストはかかりますし、スポンサーから商品を提供してもらうにしても、水面下での様々な調整が必要になります。

　それでも女性客にアプローチしようと考えたのは、女性の観客比率が３～４割にとどまっているという現状があるから。群馬の場合、男性客が多く、しかも年齢層も高めなんです。地方クラブはどこもそういう傾向が強いと思いますけど、女性に興味を持ってもらうことは今後を考えても重要なテーマなんです」

　細貝社長の視点は的をえている。そこで１つの障害になるのがスタジアムだ。群馬の本拠地・正田醤油スタジアム群馬は1951年にオープン。2006年と14年に修繕・拡張が行なわれたが、老朽化しているのは事実。屋根もなく、天気が悪くなると途端に客足が遠のいてしまうのだ。
 

　そのあたりは同じ群馬にホームを置くBリーグ１部・群馬クレインサンダーズとの違い。アリーナスポーツのバスケットボールは集客が計算でき、チアリーディングなどのイベントや興行を実施しやすい。細貝社長は、同クラブの社長で同じ群馬県人の阿久沢毅社長とも情報交換できる間柄。野球畑出身の阿久沢社長と一緒になってできることも模索していければ理想的だろう。

「阿久沢さんもそうですけど、いろんな経営者や社長と話せる立場になり、今は本当に学ぶことしかないという状況です。今はバスケの勢いに押さているのも事実ですけど、両方に行っているファンもいますし、同じ地域にあるプロスポーツクラブ同士で連係できる部分も必ずある。それを見つけて、相乗効果をもたらせるように取り組んでいきたいです」

　トップ正式就任を機に頼もしさが増した印象もある細貝社長。「今は社長業務が全体の８割」とも話していたが、経営者として確固たる存在になるべく、彼はアグレッシブに突き進んでいく構えだ。

取材・文●元川悦子（フリーライター）

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